第371話

あれから2週間ほどエリーゼの修行は続いた。


美味しい食事と温泉に入れることでエリーゼのモチベーションは保たれていたがゲルマン王国に戻る前に街をまわろうということで転移魔法で湯霧山から麓の街へ飛んでいた。


麓の街には温泉街独自の温泉卵や温泉饅頭などここでしか食べられない商品が待っていた。


エリーゼは温泉饅頭が気に入ったようで大量に購入していた。


日持ちしないということで劣化のしないアイテムボックスを持っているクロードが預かることになり定期的に渡すということで話がついた。


「ん~。それにしても久しぶりに街に出るとホッとするわね」


「修行の為とはいえずっとダンジョンにこもっていましたからね」


偶然ではあるが島津と呼ばれた男性と出会う。


「おう。街まで降りてきたのか」


「えぇ。そろそろ国に帰らないとならないので」


「それは寂しくなるな。よかったら俺の店によっていってくれ」


島津と呼ばれた男性の後に続き歩いていくと着いたのは酒屋だった。


「お酒屋さんだったんですね」


「おうよ。地元で作った銘酒を取り揃えてるぜ」


「それではお土産用にいくつか買わせていただきますね」


クロードはお勧めだというお酒を多めに購入する。


「アイテムボックス持ちは便利だな。こいつはおまけだ」


木箱に入れられたいかにも高級そうなお酒を渡される。


「いいんですか」


「普通は一見さんには出さないんだが大量に買ってくれた礼だ」


「ありがとうございます」


「酒が飲める年齢になったらまたこいよ。今度は温泉で一緒に一杯やろうや」


「その時は是非」


クロードとエリーゼは島津の酒屋を後にしてその後も街を巡った。




夕刻が迫ってきた頃、エリーゼとクロードは街の外に出ていた。


「やり残したことはないですね」


「結局2層に行けなかったのが心残りだけどいつか再チャレンジしにくるわ」


「それでは僕らの国に帰りましょう」


クロードは転移魔法を発動させてゲルマン王国王都にある学園の寮へと転移した。


「戻ってきたわね」


「えぇ。なんだかんだ色々ありましたが無事に戻ってくることができましたね」


八百万の神々が住まうと言われるが神々に遭遇するとは予想していなかった。


「それではエリーゼ。お疲れさまでした。また学園で会いましょう」


「色々ありがとう」


クロードとエリーゼは自分の寮へと戻っていった。




余談ではあるが転移魔法と言っても飛べる距離は術者の実力が大きく関係している。


クロードの転移魔法が無事に発動したのは龍脈の力を取り込んだことでその力を無意識に利用することで龍脈に沿って移動できるようになっていたためだ。

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