第372話

学園に戻ってきたクロードはとある計画を立てていた。


その計画を実現するべく教員に相談した結果、なぜか理事長室に通されていた。


「学園に施設を追加したいという話だったね」


理事長であるサイネルは笑顔でそう説いてくる。


「大量の水を張りそれをお湯に沸かして中につかるというものなんですがダメですかね」


「お湯にねぇ。東の国ではそういう文化があるとは聞いているけれどそんなにいいものなのかい」


「あれは格別にいいものです。本当は地中を掘って温泉を引きたいところですが周囲にどのような影響を与えるかわからないため沸かすという妥協案なのですが」


「わかったよ。まずは小規模のものなら許可しよう。評判がよければ大きなものを建ててもいいよ」


「ありがとうございます」


「私も興味があるからね。完成を楽しみにしているよ」




理事長の許可を得たことでクロードはスキップしながら自分の寮に戻り設計図を書きはじめた。


問題は使った水やお湯をどのように処理するかだが都市建設をしたことのあるクロードはその時の方法を流用して処理設備を設計する。


認められれば大規模なものの建築が許可されているため建物は四方を囲む壁を建てるだけにする。


設計図を完成させたクロードは事務室を訪れた。


理事長の許可証を提示すると事務員は好きに資材を使ってくれていいと言ってくれたので必要な物をアイテムボックスにしまい作業開始だ。


まずは錬金術を応用して地中に介入して処理設備を整える。


続いて今回は木を組み合わせた簡易的な湯舟を用意して設置する。


複数人が使うことを考えればかけ流し式の方がよいだろうと魔道具を新たに作る。


水を自動的に生成しそれを温めて湯舟に注ぐ方式だ。


同じ方式の魔道具でシャワーも設置すれば体を洗うのにも問題はないだろう。


床も木材でスノコを作り敷き詰めれば問題ないだろう。


最後に四方に壁を作り脱衣所を設ければ完成だ。


普通なら完成にはもっと時間がかかるのだがテンションの上がったクロードの手によって夕方には完成したのである。




完成した設備を問題がないか一通り確認する。


問題がないことを確認して理事長室に突撃する。


「失礼します」


「何か問題でもあったかな」


「設備が完成したのでその報告に来ました」


「もう出来たのかい。君が優秀なのは知っていたつもりだけど感心するやら呆れるやら」


「よろしければ一番風呂にお入りになりませんか」


「私でいいのかい」


「是非に」


個人的に使うなら今回建てたものでも十分だが衛生面を考えれば大規模なものが必要だ。


理事長が許可してくれればその着手に入れる。


その為には理事長には是非ともお風呂の良さを体験してもらう必要があるのだ。

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