第247話

クロードはフローレンス先生の特別授業と教材から貴族の当主として今までがどれだけダメだったのかということを学んでいた。


「はぁ・・・。僕って当主としてダメダメだったんですね」


「そう。気を落とすことはありませんよ。10歳であることを考えればよく頑張っていたほうでしょう。それにそれを挽回するために学んでいるのでしょう」


現在は領主としての仕事の多くファールハイト兄様が代行し補佐としてミッシェルさんが国から派遣されている。


自分がどれだけ恵まれた環境にいたのか痛感する思いだ。


今までの実績のおかげで国王陛下であるポセイドスも宰相のリッチマンも気軽にあってくれるが本来であれば手続きが必要であり突然訪ねるのは非礼にあたる。


「国王陛下も宰相も気軽にあってくれてましたが本来は手続きが必要だったのですね」


「そこに関しては今まで通りでいいと思いますよ。相手が何も言ってこないということはそういう関係を相手も望んでいるということです」


「中々難しいのですね」


「クロード君は辺境伯ですからね。この国の重鎮の一人です。中には妬む貴族もいるでしょう。ですがクロード君は正しいと思うことをすればいいのです。結果を見れば自然と周りは評価してくれるはずです」


「そういって頂けると嬉しいです」




フローレンスはクロードが苦悩しているのは国王陛下や家族にも責任があると感じていた。


貴族に取り上げるのなら当主としての教育をするべきだったのだ。


何でも出来ることから大丈夫だろうと思っていたのだろうが考えが甘すぎたと言わざるを得ない。


自身も辺境伯でありプロミネンス侯爵家と王家が後ろ盾となっている事から文句をつける貴族は少ないだろうが常に失脚させようと考えている貴族もいたはずだ。


現にクロードのことを気に入らないロッテム子爵が決闘騒ぎを起こした例もある。


決闘などと分かりやすい行動に移す者はまだマシで搦め手で攻めてくる貴族も多い。


貴族の世界は華やかな世界を思い描く人も多いだろうが裏ではドロドロとしたものだ。


今まで何人もの優秀だった生徒がそういった世界で心身ともにボロボロになった姿を見てきただけにクロードの行く末が心配であった。


学園では王族も貴族も平民も平等に扱うのがルールであり貴族の圧力から守ってやることもできるが裏で暗躍して生徒にちょっかいをかけられたことも少なくない。


今も王宮から頼まれて仕事をしているようだがそれを気に食わない貴族も当然いるだろう。


どれだけのことをしてあげられるのかはわからないが出来る限りのことをしてあげようとフローレンスは決めていたのである。

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