第214話

エリーゼが近くの街に行きたいというのでシスの街を訪れていた。


湖で生計を立てている人が多いようで露店も魚介類を扱うお店が多くクロードはホクホク顔で新鮮な魚介類を購入していく。


アイテムボックスに入れておけば劣化もしないので安心である。


一方エリーゼは装飾品のお店を覗いては色々吟味しているようだ。


クロードが邪魔をしないように見守っているとエリーゼに柄の悪い男達が近づいていく。


クロードがエリーゼを守るように立ちふさがると男の一人が舌打ちして警告してくる。


「小僧。怪我をしたくなかったらそこをどきな」


「彼女は僕の連れですからそういうわけにもいきません」


言い争いをしている声に気づいたのかエリーゼが話しかけてくる。


「どうしたの」


「いえ。なんでもありませんよ」


「そっちは用はなくてもこっちにはあるんだよ」


「小僧のほうもよく見れば立派な服を着てるじゃないか」


「どうせ金持ちか貴族のボンボンだろ。こいつもついでに攫って身代金を要求してやるぜ」


「やめておくことをお勧めしますよ」


クロードはにっこり笑って圧を発するのだが通用した様子はない。


「ごちゃごちゃうるせぇ」


男の一人が殴りかかってきたのでそのまま相手の力を利用して投げ飛ばす。


「小僧やりやがったな」


残った男の一人が刃物を取り出し襲ってくるが刃を避けこれまた投げ飛ばす。


「貴方方では僕の相手になりませんよ」


「クロードを相手にするなんて命知らずね」


エリーゼが知らずに相手を挑発しているが残りの男達が一斉に襲いかかってくる。


仕方ないので相手をするが騒ぎを聞きつけて街の衛兵が駆けつけてくる。


男達はそれを確認して慌てて倒れた仲間を連れて逃げていく。


「騒ぎを起こしたのはお前達だな」


「襲われたので相手をしただけなんですが」


「喧嘩両成敗だ。大人しくついてこい」


「クロードは何も悪いことしてないわ」


「エリーゼ。大丈夫ですよ」


ここで身分を明かしてもいいが余計な騒ぎになってしまう。


クロードとエリーゼは大人しく衛兵達に囲まれて衛兵詰め所までやってきた。


別々の部屋に通されてクロードは尋問を受ける。


「坊主。いくら相手が襲いかかってきたからってやりすぎたらダメなんだぜ」


「あれでも手加減したんですけどね」


「周辺にいた奴らから坊主と男達が急に暴れだしたって報告があがってるんだ。素直に非を認めろ」


「貴族相手に喧嘩を売ってきたんです。あれでも手ぬるいぐらいですよ」


クロードはにっこりと笑いながら辺境伯の証明書を提示するのだった。

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