第207話

「クロード。優勝おめでとう」


「ありがとう」


「優勝を祝してお城でお祝いがあるのだけど来てくれるかしら」


「うん。せっかくだしお邪魔しようかな」


「迎えの馬車がきているはずだから行きましょう」


「わかりました」




迎えに来ていた馬車に乗り込み城へと向かう。


エリーゼは馬車の中でご機嫌であった。


揃って優勝できて嬉しかったのである。


「武闘祭も終わりましたし次は定期試験に向けて勉強しないとですね」


「嫌なことを思い出させるわね」


「普段から勉強をきっちりしてるなら大丈夫ですよ」


「それはそうだけど試験という言葉が嫌なのよ」


「気持ちはわかりますけどね」




城に到着すると普段とは違い奥まった区画に案内される。


「ここら辺は王族のプライベートスペースなのよ」


「本当に一緒に来てよかったんでしょうか」


「クロードなら問題ないわ」


案内された部屋に足を踏み入れると参加者の王族の方々はもう集まっており飲み物を楽しんでいた。


「本日はこのような席にお招きいただきありがとうございます」


「クロード。よく来たな。だがこれは私的な集まりだ。畏まる必要はないぞ」


「貴方がクロードね。エリーゼの母のフレイアよ」


「お初にお目にかかります」


「主役も揃ったしそろそろ始めよう」


国王陛下であるポセイドスの合図で席につくと次々と料理が運ばれてくる。


「それではエリーゼとクロードの武闘祭優勝を祝って乾杯」


「乾杯」


国王陛下のポセイドスの音頭で杯を奉げて一口飲む。


口の中に柑橘系のさっぱりした味が広がる。


「これさっぱりしていて美味しいですね」


「うむ。気に入ったのなら何本か見繕わせよう」


「ありがとうございます」


食事は楽し気な雰囲気で進んでいく。


そんな中一人の男性が部屋に侵入してくる。


「父上。なんで私を呼んでいただけないのですか」


「アドルフか。声はかけたではないか」


「エリーゼのことは聞きましたがクロード辺境伯が来るとは聞いていません」


「はぁ・・・。わかったわかった。クロード。王太子のアドルフだ」


「王太子殿下。クロード・フォン・プロミネンス辺境伯です」


クロードの姿を確認した王太子殿下は固まってしまう。


「は・・・。え・・・。こんな子供が辺境伯・・・」


「くくく。ふはははは」


「父上。笑い事では」


「すまんすまん。クロードはそんな見た目だが紛れもなく我が国の辺境伯だぞ」


「取り乱したすまなかった。なんというかもっと濃いキャラを想像していたのだが違うのだな」


「この見た目ですから驚かれるのは無理のないことだと」


「クロードに話があるのだ」


王太子殿下は改まって話しかけてくるのだった。

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