第208話

「クロード卿。単刀直入に言うぞ。私の派閥に入ってくれ」


クロードはどう反応を返したものかと国王陛下のポセイドスの方を見る。


「アドルフ。辺境伯は国防を担う大事な役職だ。それを取り込もうなどと正気か」


「シルフィード皇国は我が国を襲う気概などないでしょう。それならば有効に戦力を使ったほうがいいでしょう」


「それはクロードの実績あってのことだ。今でこそ普通に流通しているが向こうの腹が見えん以上国内の雑事に関わらせるのは許さんぞ」


「国王陛下もああ言っていますし中立の立場を取らせていただきます」


「残念ではあるが引き下がろう」


王太子殿下は足早に部屋を出て行ってしまった。


「クロード。アドルフが迷惑をかけたな」


「いえ。有力な貴族を取り込もうとするのはお立場を考えれば正しいのでは」


「あれはあれで優秀なのだがな。貴族間のバランスに執着するところがあるのだ」


「王太子殿下の派閥はどうなっているのですか」


「余を支えてくれる貴族も推しておるし問題ないと言いたい所ではあるが微妙だな」


「それはそれで大丈夫なのですか」


「敵対派閥はそれほど大きくない。中立の立場を取っている貴族も多いから大丈夫だろう」


「せっかくの祝いの席なのです。政治の話はそれぐらいにして食事に戻りませんか」


「おお。すまんすまん。この場で話すことではなかったな」




食事は進み食後のお茶を楽しんでいた。


「そうだ。エリーゼにプレゼントがあるんですよ」


「何かしら」


クロードはアイテムボックスからプロミネンス領で作って貰った細剣を取り出す。


「綺麗な細剣ね。大切に使わせてもらうわね」


「あらあら。エリーゼったら嬉しそうね」


「クロードのことだから普通の材料ではないんだろうな」


「風帝龍の牙を使った特注品ですよ」


「さらっととんでもない名前が出てきたがエリーゼ。武器に負けぬよう頑張るんだぞ」


「はい。精進いたします」




楽しかった時間はあっという間に過ぎ馬車で送ってもらいクロードとエリーゼは寮へと戻ってきた。


「今日は付き合ってくれてありがとう」


「楽しい一時を過ごさせてもらいました」


「クロード。おやすみなさい」


「エリーゼ。おやすみ」


クロードは自分の寮へと入りクラスメイトのための教材を作ってから眠るのだった。




翌日。


教室に向かうとクラスメイト達から次々と武闘祭の優勝を祝う言葉をかけられる。


「皆。ありがとう」


しばらくしてレイシャ先生がやってくる。


「皆。武闘祭お疲れ様。お祭り気分もいいけれど定期試験のことも忘れないようにね」


レイシャ先生に釘をさされ一気にクールダウンする一同だった。

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