第175話

俺の名前はフォテン・フォン・ミケンス。


栄光あるゲルマン王国ミケンス伯爵家の嫡男だ。


最近妙な噂があり調べてみると新しく入ってきた1年が教師に媚びを売って気に入られてる奴がいるらしい。


教師達は特別扱いしているらしいが栄光ある我が学園が腐敗しているようで気に入らない。


その1年は中等部の演習に特別参加したらしく中等部の連中が助けられたなどと話していた。


1年に助けられるなど恥を知るべきだと思い注意するとクロード卿は別格だと全員して依怙贔屓する。


中等部の連中の目を覚まさせるために俺はクロードとかいうやつに決闘を申し込むことにした。


演習から帰ってきているはずなのに授業に出席していないらしく中々捕まえることができなかった。


授業を受けないなんて学生の本分を何だと思っているのだ。


ますます気に入らない。


教師達にも苦情を言うが受け入れられることはなかった。




俺はようやっと食堂でクロードとかいう痴れ者を捕まえることに成功した。


「お前がクロードとかいう1年だな」


「クロードは僕ですけど何でしょうか」


「教師達にどうやって取り入ったのか知らんが気に入らん。お前に決闘を申し込む」


「決闘ですか・・・。わかりました。お名前をおうかがいしても」


「フォテン・フォン・ミケンスだ。今日の放課後演習場で待ってるぞ」




放課後演習場には呼んでもいないのに大勢のギャラリーがつめかけていた。


こんな大勢の前で醜態を晒すのは可哀相だとは思うが自業自得だ。


戦闘が得意らしいが俺の技術の前には何もできないだろう。


何やら弱気な発言をしているが今更引くわけにはいかないのか勝負を承諾してくる。


俺は先手必勝と攻撃魔法を多重詠唱で放つ。


驚いたことに俺の放つ魔法を全て避けている。


だがいつまでも避け続けることなど不可能だ。


勝利を確信してさらに魔法の数を増やす。




いつの間に魔法を発動したのか俺は土に体を拘束されていた。


このような魔法があるなど授業で習っていない。


身動きを取れない俺の首筋に剣があてられる。


何かごちゃごちゃいっているがこんな負け方など許せるわけがない。


気が付けば俺は駄々をこねるように声を出していた。


「うるさい。うるさい。この勝負は無効だ」


言ってから気付いたが完全に負け惜しみだ。


しかし言ってしまった言葉は取り消せない。


こんな大勢の前で負けを認めるなどプライドが許さない。


相手も困っているようだが俺はもっと困っている。


どうしてこんなことになったんだ。


勝負を挑むべきではなかったとは思うが後の祭りであった。

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