第174話

クロードは久々にクラスにて授業を受けていた。


しばらく授業には出ていなかったが内容は過去に勉強した内容なので問題ない。


休み時間になるとクラスメイトの女子生徒がわからなかった部分を聞きにくるなど平常運転だ。




昼休み食堂で昼食を取っていると上級生の一人がやってくる。


「お前がクロードとかいう1年だな」


「クロードは僕ですけど何でしょうか」


「教師達にどうやって取り入ったのか知らんが気に入らん。お前に決闘を申し込む」


「決闘ですか・・・。わかりました。お名前をおうかがいしても」


「フォテン・フォン・ミケンスだ。今日の放課後演習場で待ってるぞ」


一方的に告げるとフォテン先輩は去っていった。




「クロードもトラブルに愛されてるわね」


「なんでこうなるんでしょうかね」


「それはやっぱり色々目立ってるからじゃないかしら」


「そんなに目立ってますか」


「私達に色々教えてくれているし上級生の演習でも大活躍したのでしょう。噂になってるわよ」


エリーゼは口元を隠しているがおかしいのか笑い声が漏れていた。




午後の授業も終わり演習場に向かうとそこには多くのギャラリーがつめかけていた。


「俺の勝利は揺るがないがよく逃げずにきたな」


その自信がどこからくるのかはわからないが冷静に対応する。


「本当にやるんですか」


「何だビビったのか」


「いえ。そういうわけではないですけど」


「なら早くやるぞ」


フォテン先輩は模擬戦用の剣を無造作にこっちに投げ渡してくる。


「勝敗はどちらかが動けなくなるか負けを認めるまでだ」


「それで構いませんよ」


お互いに対峙して構えるとフォテン先輩は剣ではなく無詠唱で魔法を放ち狙ってくる。


クロードは最低限の動きでそれを回避していく。


「中々やるな。でもいつまで避け続けることができるかな」


多重詠唱をしていて数は中々のものだが精度が甘く大した脅威ではない。


クロードはアースバインドを放ちフォテン先輩の動きを阻害しにかかる。


アースバインドは名前の通り土を操り対象の動きを阻害する魔法だ。


フォテン先輩は油断していたのかアースバインドで身動きを封じられ魔法が途切れる。


クロードは一気に近づき剣を首筋にあてる。


「フォテン先輩。まだやりますか」


「くっ。卑怯だぞ。こんな魔法が使えるなんて聞いてない」


いきなり攻撃性の魔法を放った男とは思えない言い訳である。


「あんまりみっともない所をみせると評判に差し障りますよ」


「うるさい。うるさい。この勝負は無効だ」


駄々をこねるフォテン先輩を前に困るクロードであった。

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