第153話

妾の名前はエリーゼ・ド・ゲルマンなのじゃ。


ゲルマン王国の第10王女なのじゃ。


「姫様。ご機嫌ですね」


「今日はクロードと一緒に帰ってきたのじゃ」


「それはようございましたね」


クロード・フォン・プロミネンス伯爵は妾の思い人なのじゃ。


王族に生まれた以上政略結婚の道具と扱われるのは幼いながらにもわかっておるのじゃ。


でも父様もクロードには目をかけているようで公認だと思っておるのじゃ。


「クロードは凄いのじゃ。教師から手伝って欲しいと言われるぐらい優秀なのじゃ」


「プロミネンス侯爵家の神童は噂以上のようですね」


「妾も負けぬように頑張るのじゃ」


「それでは姫様。本日の勉強をはじめましょう」


「わかったのじゃ」


勉強は正直大嫌いなのじゃ。


でもクロードに釣り合うように頑張るのじゃ。




姫様はクロード卿と出会ったことで変わりました。


大嫌いな勉強も泣き言をいうことなく取り組むようになりました。


クロード卿が買ってくれたというネックレスを肌身離さず身につけ大切にしていらっしゃいます。


クロード卿は彗星のように現れ順調に陞爵して爵位を上げておられるので姫様とのご婚約も十分可能な優良株です。


同僚に聞いたのですが武力に優れ財政面でも大きく国に貢献しているそうです。


幼いころから姫様の面倒を見ている私は複雑な気持ちもありますが姫様の願いが叶うことを応援しています。




「終わったのじゃ」


「では採点しますね」


今日の問題は難しかったのじゃ。


でも愛のためにはいかなる問題も壁になることはないのじゃ。


「姫様。残念ですがここが間違っています」


「なんじゃと。もう一度解くのじゃ」


じっくり考えれば解けるはずなのじゃ。


「出来たのじゃ」


「はい。今度は正解です。焦らずじっくり考えることが大切ですよ」


勉強は一日にしてならずなのじゃ。


コツコツとした積み重ねが大事なのじゃ。


「では次の問題に入りましょう」


「わかったのじゃ」


黙々とお付き兼家庭教師のアイナの出す問題を解くのじゃ。


「今日の問題は難しいのばかりなのじゃ。妾何かしたのじゃ」


「いえいえ。姫様がここ最近頑張っているのでそれに対応してのことですよ」


「わかったのじゃ。不平を言って悪かったのじゃ」




補足のために言っておくと姫様は十分優秀です。


初等部の問題は解けていて中等部の問題に入っているのです。


ですが目標とするクロード卿が優秀すぎるのです。


こっそり学園に問い合わせたら高等部でも難しい問題を易々と解いたというのです。


私の役目は姫様が目標とする地点に導くこと。


鬼と言われても導いてみせます。

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