第152話
「では続いて功績のあった者の陞爵に入ります」
次々と名前が呼ばれ陞爵される者がでる中クロードはそれを見守っていた。
「最後にクロード・フォン・プロミネンス伯爵前へ」
名前を呼ばれクロードは前に出て膝をつき頭を下げる。
「そなたの国への貢献を称し辺境伯とするものである。周囲の貴族と共に国を盛り上げてほしい」
「謹んでお受けいたします」
「陛下。お待ちください。子供に辺境伯は荷が重いのではありませんか」
「クラリーネ侯爵か。その懸念もわかるが周辺諸侯の救援のため騎士団を派遣し国内の安定に大きく寄与しておる。それにシルフィード皇国とは関係が改善されたが相手が内心何を思っているのかはわからぬ。辺境伯を置くことで楔としたいのだ。それ故の陞爵である」
「陛下がそこまで言うのなら引き下がりましょう」
「他に異論のある者はいるか」
謁見の間が静寂に包まれる。
「いないようだな。若くしての陞爵でよく思っていない者がいるのも確かではあるがそれを超える実績を作ってくれると信じておるぞ」
「陛下のご期待に応えられるよう精進いたします」
「それでは本日の謁見は以上である」
クロードは元の位置に戻り膝をつき頭を下げて国王陛下であるポセイドスの退室を待つ。
「クロード。元気にやっておるようだな」
「父様。お久しぶりです」
「話がある。場所を変えよう」
父様の後に続いて謁見の間を後にする。
馬車の待機場でプロミネンス侯爵家の馬車に乗り移動を始める。
「クロードは予定通りに学園に通うのだろう」
「その予定です」
「そこでだ。ほとんど領地に帰ることはできなくなる。陛下が派遣してくださる代官は優秀ではあるが信頼できる者を配置する気はないか」
「信頼できる者をですか」
「プロミネンス侯爵家としては私がいればまわるからな。ファールハイトの奴をニーパス領に送ってはどうかと思ってな」
「それは助かりますがよろしいのですか」
「ファールハイトにも良い経験となるだろう」
「わかりました。代官のミッシェルさんに手紙を書いておきますね」
「それはそうと友達はできそうか」
「今日早速友達ができましたよ」
「それはよかった。安心したよ」
「父様も心配性ですね」
「優秀すぎて浮くのではないと思ってね」
「そうですね。学園では教えられることがないと言われてしまいまして。教師の手伝いをしてみないかと言われています」
「教師の手伝いとは何をするんだい」
「補助やわからない生徒に教えればいいそうです」
「実質先生が二人になるわけか。学園も考えたものだな」
その後も他愛無い会話を続ける二人だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます