第148話
クロードは時間が出来たので王宮騎士団の練兵場を訪ねていた。
兄であるクラウス兄様に会うためであるが今は訓練中のようで他の騎士と模擬戦をしていた。
前に見たときよりも動きは洗練されフェイントのかけあいなど高度な戦いを繰り広げていた。
「おや。そこにいるのはクロード卿ではありませんか」
話しかけてきたのは王宮第一騎士団の団長であるフォーネストである。
「フォーネスト団長。お久しぶりです」
「今日はどうなされましたか」
「クラウス兄様に会いにきたのですが訓練中のようで」
「なるほど。それでしたらお時間はあるのですね。私と模擬戦をしていただけませんか」
「騎士団長がホイホイ模擬戦をしてもよいものなんですか」
「本当はよくないのですがクロード卿とは一度手合わせしたいと考えていたのです」
「そういうことなら」
お互いに模擬専用の剣を持ち練兵場で対峙する。
周囲で模擬戦を行っていた人々が手を止めスペースを開けてくれる。
その中にはクラウス兄様も混じっていた。
周囲が見つめてくる中じりじりと間合いをはかる。
騎士団長が相手なので油断することなく間合いに入ったら隙の少ない突きで反応をうかがう。
フォーネスト団長は突きに剣を合わせ受け流す。
すぐに剣を引っ込めるがフォーネスト団長のほうが動きが早く突きを放ってくる。
それをサイドステップでかわし今度は横に剣で斬りつける。
フォーネスト団長はバックステップでそれをかわし上から斬りつけてくる。
避けていては間に合わないため剣の動きに合わせてそのままフォーネスト団長の横を通り抜けることで回避する。
回避されると思っていなかったのかフォーネスト団長は体勢を崩す。
その隙を狙って連撃を繰り出す。
フォーネスト団長は立て直そうと大きく後退するが離れないように距離をつめてそれを許さない。
フォーネスト団長は両手をあげて声をかけてくる。
「いや。参った。降参だよ」
「まだ余裕があるように見えましたが」
「それはクロード卿もだろう。これは模擬戦であって殺し合いではないからね。目的は達したしね」
フォーネスト団長の言葉で周りを見まわしてみると騎士団員達は熱い議論を交わしていた。
「クロード。相変わらずすごい腕だな」
「クラウス兄様も腕をあげられたようで」
「騎士団で毎日しごかれているからな。いやでも強くなるってものさ」
そこに王宮第二騎士団団長のムッテハイドと王宮第三騎士団団長のイリウムがやってきた。
「ムッテハイド団長。イリウム団長ご無沙汰しております」
「途中から見てたが冷や冷やさせられたぜ」
「仮にも騎士団長が負けたってなると外聞が悪いからな。フォーネスト。気持ちはわかるが自重してくれよ」
「あはは。悪かった。でもこれは必要な儀式みたいなものさ」
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