第135話

父様との話し合いが一段落ついたころ書斎に母様が顔をだした。


「クロードが帰ってきていると聞いたのだけど」


「母様。お久しぶりです」


「仕事の話もいいけれど家族揃ってのお茶にしないかしら」


「うむ。それはいいな。ちょうど疲れていたところだ」


父様と母様と共に居間に移動する。




「ふふ。いい茶葉が手に入ったのよ」


母様は上機嫌で自ら紅茶をいれてくれる。


そこに遅れてファールハイト兄様が入ってくる。


「クロードお帰り」


「ファールハイト兄様。ただいまです」


領主となってニーパス領で過ごす時間は増えたけれど帰ってくる家はやはりここなのだと実感する。


「そうだ。お土産があるんですよ」


アイテムボックスからニーパス領で造っているワインを取り出す。


「うちの領で造っているワインです。よかったら皆で飲んでください」


「ありがとう。後で飲ませてもらうよ」


「クロードももう9歳。来年は学園に通うことになるのね」


「クロードは色々規格外だから教える先生達も困るだろうね」


「友達が出来るといいのですけど」


「大丈夫よ。クロードはこんなにいい子なんだもの。友達もいっぱいできるわ」


その後も様々な話をして穏やかな時間を過ごした。




家族との心温まる一時を過ごしたクロードは転移魔法でニーパス領に戻っていた。


大半のことは代官であるミッシェルがこなしてくれるがクロードが判断しなくてはいけないこともあるためだ。


今目を通しているのは領内の魔物被害をまとめた報告書である。


「フォレストウルフが異常繁殖しているのか。このままだと村や街道まででてきそうだな」


「村には兵士を派遣して街道の警備も強化しておりますが被害が出るのは時間の問題かと」


「騎士団も他所にまわしていて余裕がないしこれぐらいの相手だったら僕が討伐してくるよ」


「まったくいないわけではないですが領主が自ら討伐に行くのは褒められたことではないのですけどね」


「僕には戦う力があって民を守るのが領主の仕事ですから」


「わかりました。気を付けていってきてください」




ミッシェルさんに見送られ執務室を出たクロードはそのまま外に出てグリフォンを呼び出す。


「さてと。ちゃっちゃとすませよう」


目指すのはフォレストウルフが根城にしていると思われる森である。


森に到着したクロードはグリフォンを降りて気配探知で気配を感じ取りながら森の中に入っていく。


森の中に入ると早速見張りと思われるフォレストウルフと遭遇する。


フォレストウルフは遠吠えをして侵入者がいることを群れ全体に知らせてから襲いかかってくるのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る