第134話

数か月が経ちクロードは9歳になっていた。


本日は建築中だった新都市が完成し関係者を集め完成を祝いパーティーを開いていた。


「皆さんのおかげで新都市は無事に完成しました。この都市の名前はアテナと名付けます。それでは新都市アテナの繁栄を願って乾杯」


集まった人々は杯を掲げ中の飲み物に口をつける。


「クロード様。無事の完成おめでとうございます」


「ありがとうございます」


クロードの前には一言挨拶をしようと大勢の人が列をなしている。


クロードは内心辟易としつつも領主の役目として笑顔で一人一人に対応していく。




クロードに挨拶の終わった人々はそれぞれグループを作り提供されている料理に酒を口にしながら雑談に興じている。


完成祝いとしてクロードが死蔵しているドラゴンの肉などが提供されておりおおいに人々の食欲を満たしていた。




人が途切れたのを見計らいミッシェルさんが声をかけてくる。


「クロード様。お疲れさまでした」


「ミッシェルさんもお疲れ様です」


「今のうちに少しお休みください」


クロードも用意されていた飲み物で喉を潤す。


これは酒造している村で試験的に造っている葡萄ジュースだ。


「これはこれで美味しいね。試験的に造っていると聞いたけど十分売れそうだよ」


「酒造したものより値段は下がりますが新たな名物となることでしょう」


ニーパス領のこれからを示すように明るい雰囲気でパーティーの時間は過ぎていった。




アテネ完成のパーティーのあった翌日。


クロードは転移魔法でプロミネンス領の屋敷に帰ってきていた。


「ただいま~」


「クロード様。お帰りなさいませ」


「父様は書斎かな」


「はい。書斎でお仕事をなさっております」


「ありがとう」


クロードは父様の書斎を訪ねる。


「父様。失礼します」


「おお。クロード。久しぶりだな」


「父様もお変わりなく」


「ニーパス領の経営はうまく行ってるようだな。遠く離れたこの地にも話は聞こえてきていたぞ」


「皆が支えてくれたおかげです」


「うむ。何でもかんでも自分一人では限界がある。人を頼ることも大切なことだよ」


「陛下から依頼されて各地に騎士団を派遣しているのですが魔物の動きが活発すぎると思っているのですがプロミネンス領近辺はどうですか」


「こちらも近隣の諸侯に頼まれて騎士団を派遣しているが対処が追い付いていないな」


「素材を落とすので経済的には助かっていますが今後このペースで魔物被害が加速すると困ったことになりそうですね」


「うむ。何かしら対策は必要だろうな」


父と子としてではなく領主としての話を続ける二人だった。

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