第130話

「それでクロード。本当に買ってくれるのかや」


「ええ。構いませんよ」


クロードは代金を店主に払いネックレスを受け取る。


「つけてくりゃれ」


「それでは失礼して」


クロードはエリーゼにネックレスをつける。


「ありがとうなのじゃ。これは妾の宝物にするのじゃ」


エリーゼは屈託ない笑顔で笑っている。


「そろそろ戻らねばならないお時間です」


「もうそんな時間なのかや。何かお礼をしたい所じゃが父上にはこのことを話しておくのじゃ」


「それではまた会えることを楽しみにしております」


「うん。またなのじゃ」


エリーゼと護衛の兵士が人混みに消えていく。


クロードもそろそろ謁見のため王宮に向かうのであった。




謁見の間にはすでに多くの貴族が集まっておりクロードも慌てて列に並ぶ。


間もなく国王陛下の入室を係の人が告げる。


「国王陛下。ポセイドス・ド・ゲルマン陛下のおな~り~」


声と同時に膝をつき頭を下げる。


「皆の者楽にしてくれ。今回は急な呼び出しに応えてくれて感謝する」


陛下の言葉で頭をあげて話に集中する。


「つい先日ニーパス領がシルフィード皇国から侵攻を受けた」


陛下の言葉に周囲の貴族がざわめきだす。


「皆の者。陛下の言葉の途中である。静粛に」


秩序を取り戻したのを確認して陛下が再び話しはじめる。


「領主でクロード・フォン・プロミネンス子爵が王宮第三騎士団と協力してこれを退けた。これにより我が国は賠償金と交易の自由化を勝ち取った。これを受けて功績を称えてクロード・フォン・プロミネンス子爵を伯爵に陞爵するものである」


「クロード・フォン・プロミネンス子爵前へ」


呼ばれて前に出て膝をつき頭を下げる。


「先ほど言ったようにそなたを伯爵に陞爵することとする」


「ありがたき幸せにございます」


「時にイリウム第三騎士団長に聞いたのだがそなたの騎士団は全員がドラゴンの装備で固めているそうだな」


「その通りでございます」


「今回の働きと今後の働きを期待して余から竜の文字を送ろう。これからは竜騎士団と呼称するがよい」


「今後も期待に応えられるよう努力いたします」


「下がってよいぞ」


元の位置に戻って列に並ぶ。


「現在魔物の動きが活発化しているのは皆も知っての通りだと思う。他の者も軍備を固め民を守れるよう努力せよ」


国王陛下の退室を待って立ち上がり退室しようとしたところを使用人に呼び止められる。


「国王陛下がお待ちです。応接室にご案内しますのでお付き合いください」


使用人の後を続いて応接室を目指すのだった。

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