第116話
訓練といえばまず体力の練成からである。
クロードは騎士団員候補と共に走り込みをしていた。
「走れ走れ。そこペースを落とすな」
遅れた者には容赦なく生活魔法で水をぶっかける。
「ひぃぃぃ。殺される。殺されちまう」
「無駄口を叩くな。罰としてペースをあげろ」
徹底したスパルタ方式で騎士団員候補を締め上げる。
走り込みを終えて横倒しに倒れている騎士団員候補達に容赦なく生活魔法で水をかける。
「休んでいる場合ではないぞ。これより素振りを行う。構えろ」
何か言いたそうにしつつも無駄口を叩けばどうなるか理解したのかノロノロと騎士団員候補達が剣を構える。
クロードは一人一人の素振りを観察して修正点を指導する。
細かい指導を終えたクロードは声をかける。
「それでは止めというまで続けるように」
訓練の様子を眺め遅れた者には水を生活魔法でかける。
水をかけられれば衣類に水が滲みこみ体が重くなりさらなる負荷がかかることになる。
結局訓練は夕暮れまで続けられた。
「本日の訓練はここまでとする。それでは今より夕食の時間だ」
クロードは下級竜の肉をアイテムボックスから取り出し適当な大きさにカットしていく。
疲れきった騎士団員候補達は動く気配をみせない。
初日ではあるが少し飛ばしすぎたかなとは思うものの反省はしていない。
「ほれほれ。しっかり食わんと明日からの訓練に差し障るぞ。食うのも仕事のうちだ」
そう言われてノロノロと騎士団員候補達が動き出す。
「肉はいくら食ってもいいが生活魔法で焼くように」
受け取った肉を疲れた表情をしながら最初の一人が焼きはじめる。
肉は焼け辺りに香ばしい匂いが漂う。
他の騎士団員候補達もつられるように焼きはじめる。
焼き終わった肉を食べた彼らは表情を大きく変える。
「うめぇ。この肉めちゃくちゃうまいぞ」
「本当だ。これならいくらでも入るぞ」
クロードは追加の肉を用意してやりながらそれを笑ってみていた。
騎士団員候補達の訓練を終えたクロードは領主館でミッシェルと打ち合わせをしていた。
「頼まれていた物資ですがやはり我が領だけでは集めるのは不可能です。近隣の領地にも掛け合っていますが余裕のあるところは少なく集まりが悪い状況です」
「領内については支援金を出して量産の体制を整えてください」
「わかりました」
「近隣の領地のほうは下手に手を出せば内政干渉になってしまいますね。何か良い手はないでしょうか」
「事業が本格的に始動して実績を作れれば説得もできるでしょうが今は大赤字の状態です。難しいですね」
近隣の領地の改善方法について悩む二人であった。
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