第69話

ファールハイトは王宮からの許可を受けて新しい街を作るため奔走していた。


最近のクロードは家にいることが多く、出かけても日暮れ前には帰ってきていたので安心して自分の仕事に取り組む。




建設予定地の選定に資材の確保に人員の確保。


いきなり導入して失敗しないように導入予定である上下水道や様々な設備の実験の手配。


しなければならない仕事は沢山あるがミスの出ないように一つ一つこなしていく。




その頃、クロードは演習場で古代魔法の本を見ながら魔法陣を描き実行してイメージ力で再現できないかの実験を行っていた。


魔法陣はしっかり描くことができれば魔力の許す限り誰にでも再現が可能である。


しかし、常に魔法陣を描くことはできないし実験として杖に魔法陣を取り入れ専用の杖を作ってみたが、他の魔法を使うときに干渉して実用的ではなかった。


そうなってくると実戦で使うためにはイメージ力のみで再現する必要性が出てきたのである。


古代魔法とついているが効果は様々で初級魔法ぐらいの威力しかないものや独特な効果を持ったもの。


上級魔法を上回る性能のものまで千差万別だ。


古代魔法から得た知識でオリジナルの魔法をイメージして新魔法の開発まで行っていた。


魔力量の関係で普通の人では成しえない速度で研究は進んでいく。




プロミネンス領、各地では街づくりのための人足などの募集がかけられその仕事にありつこうと応募の人が殺到していた。


役人達も必死に対応しているが追いついていないのが実情だ。


労働力として多くの兵士も投入されることが決まっており警備計画の見直しなどこなさなければならない仕事が多い。




プロミネンス領、新都市の名前はアポロニアと名付けられた。


場所は農業と畜産が盛んに行えるように平原地帯に作られることになり水源は水量豊かな川から引き込み元の川に戻すことで確保することとなった。


潤沢な資金の元、大量の人と優秀な技術を持つ専門家を誘致することに成功したため大規模な都市計画としては異例の速度で進められていくことになる。




懸念していた設備もおおむね問題なく実験が完了した。


ダメだったものも引き続き実験が続けられ最終的には都市の設備として実装される。


実装された設備も有用性が認められ少しずつではあるが、国中に広がっていきこれを機に衛生面が大きく向上するなど近代都市の先駆けと呼ばれることとなる。




アポロニアの建設を統括し指揮したファールハイトは功績を認められ大きく評価され歴史書にも残る偉業を成し遂げた。

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