第5話
朝食の席で父であるファイネルは機嫌が良さそうに語りかけてくる。
「クロードももう5歳か。時が経つのは早いな。今日は教会に洗礼を受けに行くぞ」
「はい。父様」
プロミネンス家は侯爵家として十分な屋敷を所持しており庭も広かったのでクロードは屋敷の外に出たことがなかった。
馬車に乗っての移動となるが初めての外出といよいよ洗礼を受けるということでわくわくしていた。
昨日は興奮で中々寝付けなかったほどだ。
朝食の後は侍女に手伝ってもらいながら服を着替え両親と共に玄関に向かい用意された馬車に乗り込む。
馬車は屋敷を出て街中を走っていく。
クロードは初めてみる街を馬車の窓から興味深そうに眺める。
街は西洋を思わせる建築様式をしていた。
しばらく街の風景を楽しんだ後は席に深く腰掛け姿勢を正す。
両親はニコニコしながら上機嫌で話しかけてくる。
「クロードはどんな才能を授かるのかしら。今から楽しみね」
「聡明な子だ。授かる物が全てではないが期待してしまうのは親馬鹿なのだろうね」
魔法の才に恵まれた者や武力に恵まれた者など本からの知識としてどういった物がギフトとして与えられるのかは理解している。
中にはアイテムボックスを授かり強力な武具や便利な道具を授かることもあるようだ。
馬車は程なくして停車する。
両親と共に馬車を降りると立派な教会が目に入ってくる。
教会の出入り口には神父さんが立っており深々とお辞儀をしてくる。
「侯爵様。お待ちしておりました。洗礼の準備はできております」
「うむ。今日はよろしく頼む」
神父さんが教会の入り口を開き両親と共にその後に続いて歩いていく。
祭壇のある部屋は多くの人が祈れるようにいくつもの長椅子が置かれている。
柱などには細かい装飾が施されており正面には綺麗なステンドグラスが日の光を受けて神秘的な風景を作っている。
神父さんの後に続いて祭壇の前まで歩むと水晶玉が置かれていることに気が付く。
「それではこれよりクロード・フォン・プロミネンスの洗礼の儀を執り行わせていただきます」
「はい。よろしくお願いします」
いよいよ洗礼だ。
緊張で胸がどきどきしてきた。
「緊張しているようですね。ですが難しいことはありません。目をつむり水晶玉に手を触れるだけです」
水晶玉の前まで進み目をつむると思い切って水晶玉に触れる。
水晶玉に触れると様々な情報が頭の中に入ってくる。
魔法の使い方や武器の扱い方。
アイテムボックスの使い方に中に入っている装備品やアイテムのことなどを理解する。
転生するときに女神が言っていたステータスと所持していたアイテムを獲得したのだった
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