第4話
クロードはウキウキしながら本を読み始める。
まず魔法を使うためには教会で洗礼を受ける必要があると書かれている。
「洗礼か。確か5歳になったら受けることになるんだったよな」
洗礼を受けていないと魔法を使えないのは未熟者が事故を起こさないようにというセーフティーのようなものだ。
「何々。洗礼とは神に認められ奇跡を授かる儀式である。才能の差は当然あるが日々の努力で差を埋めることも可能なため修練を怠らないようにか」
今すぐ魔法を使うことができないのは分かったがそのまま本を読み進めていく。
「魔法は大きく分けて4系統に分類されます。生活魔法。攻撃魔法。回復魔法。支援魔法です。この本では生活魔法を中心に執筆されています、か」
その後も集中して本を読み進めていく。
気が付けば夕日が部屋に差し込んでおり夕食の時間になっていた。
本を机の上に置き食堂に向かう。
食堂に入ると母であるリーシアと父のファイネルが席について待っていた。
「クロード。ご本を読むのは楽しいかしら」
自分の席につくとリーシアはにこにこと微笑みながら訪ねてくる。
「はい。母様。まだ魔法は使えませんが興味深いです」
「クロードは魔法に興味があるのか。洗礼を受けないと使うことはできないが知識を得ておいて損はないだろう。他のご本もちゃんと読むのだぞ」
「はい。父様」
幼いながらも字を早期に覚え本を読み始めた息子に両親はご機嫌であった。
夕食を終え部屋に戻り再び本を読み始めたがしばらくすると使用人が本を抱えて部屋に訪ねてきた。
「坊ちゃま。ご当主様に言われてご本をお持ちしました」
「ありがとう。ここに置いて」
父であるファイネルは書庫で本を探すのは大変だろうと読んだ方がいい本を選別して本を運ばせてくれたようだった。
「読み終わりましたらお言いつけください。本を片付けまして次の本も運ばせていただきます」
「うん。わかったよ」
「それでは失礼いたします」
使用人が出て行ったのを確認して運んできてくれた本のタイトルを眺めてみる。
建国物語や初級攻撃魔法に初級回復魔法など今読んでいる本を読み終わったら探そうと思っていた本が含まれていた。
その日から母であるリーシアに促され適度に庭で遊びつつも本を読んで知識を蓄えていく。
クロードは大きな病気をすることもなく健やかに5歳の誕生日を無事に迎えることになる。
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