第6話、ドキドキさせる方法②
挿絵:URL
https://kakuyomu.jp/users/sorachiaki/news/16817330663934695140
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帰宅した後、俺は制服を脱いでラフな部屋着に着替える。
リビングに行くとユキも私服に着替えており、ソファーの上に座っていた。
胸元の開いた水色のシャツに、デニムのショートパンツを合わせた私服姿。黒色のオーバーニーソックスが白い肌に映え、張りがあって肉付きの良い太ももが露わになっている。
リラックスしているのか柔らかな微笑みを浮かべて、ユキは俺が来るのを待っていた。
「えへへ、晴くん来ましたね? それではここに座ってください」
「お、おう……」
ユキがぽんぽんとソファーを優しく叩くので俺は素直に従って腰を下ろす。
着替えながらもユキの言っていた事が頭から離れなくて、ずっと気になっていた。ユキは一体これから何をするつもりなんだろうか。
既に心臓は高鳴っていてユキの狙い通りにドキドキさせられているのだが、それを言ったところできっと満足してくれない気がする。
ちらりと隣に視線を向ければ、ほんのりと頬を赤く染めながらユキが俺の肩にすり寄った。
「ではでは。わたしといっぱいドキドキしましょうね、晴くん」
「えと……何をするつもりなんだ?」
「膝枕です。晴くん、おいで?」
「え」
びっくりしすぎて声が上ずってしまった。まさかユキの思い付いた内容が、俺を膝枕でドキドキさせる事だったなんて。
ユキは青い瞳で俺の顔を見上げながら柔らかな太ももをぽんぽんと叩く。俺はその光景にごくりと息を呑んだ。
ユキが履いているのはスカートではなくショートパンツで、柔らかな太ももを惜しげもなく見せつけている。
黒色のオーバーニーソックスとの境界線には肉付きの良い太ももがむちりと食い込んでいて、その柔らかそうな肉感たっぷりの太ももが俺を誘っていた。
そんな太ももで魅せられて『おいで』と優しく言われて断れるはずもなく、俺は吸い寄せられるようにユキの太ももに頭を乗せてしまう。
「いいこいいこ、です。晴くんなでなでしてあげますね」
「ユキ、これは……っ。なんかやばいんだけど……」
細くしなやかな指が俺の頭を優しく撫で回す。
まるで幼い頃のじゃれ合いのようで懐かしさと心地よい幸福感があるのだが、柔らかな太ももを肌で直接感じるというのは刺激が強すぎた。
ユキの太ももはふわふわと弾力があってマシュマロのようで、肌は吸い付くようにしっとりとしている。
生で感じるユキの太ももは想像していたものより遥かに柔らかく、それでいて温かくて優しく俺の頭を受け止めてくれる。
それに触れ合った場所が溶け合うように気持ち良いだけでなく、ユキの甘い香りがふわりと漂ってくるし、頭を撫でる手付きはとても優しくて、俺の心臓はドキドキと高鳴りっぱなしだ。
俺がそうやって悶えているとユキの楽しそうな声が上から降ってきた。
「晴くん、顔真っ赤です。ドキドキしてくれてるんですね。可愛いです」
「あんまり見ないでくれると嬉しいんだけどな……。今の俺、かなりだらしない顔してるだろうし……」
「えへへ。もっともっとわたしに晴くんの可愛いお顔を見せてくださいね?」
ユキは悪戯っぽく微笑んで、俺の頬を指で優しくつついてくる。
細くて綺麗な指がすりすりと頬をなでて、ふにふにと押される感触はくすぐったいのに気持ち良い。
「晴くんのほっぺ、ふにふにしてて柔らかい。なんだか癖になりそうです」
「な、ならなくていいって……。このままだと俺、恥ずかしくて心臓がもたない……」
さっきから心臓がうるさい。
もう既に俺は心身共に限界を迎えていて、優しく微笑む唇から紡がれる声に骨抜きにされてしまっている。
慈愛に満ちた柔らかな笑み、俺の頭を撫でる手付きも優しい。
この心臓の高鳴りは留まる事を知らず、むしろどんどん加速していく一方だ。
俺はユキに膝枕をしてもらったまま、顔を真っ赤に染めてその綺麗な瞳を見上げる事しか出来ないでいた。
そんな俺を愛おしげに見つめて、ユキはとろけるような甘い声で呟く。
「晴くん、本当に可愛いです。あんなにかっこよくて頼りになる晴くんが、わたしのお膝の上でふにゃふにゃになって甘えてくれてるんですから」
「これはずるいって……。まさか俺をドキドキさせる為に、膝枕で甘えさせてくれるなんて思ってなかったし……」
「もーっと甘えてくれていいですからね? ううん……わたしにいっぱい甘やかされて欲しいです。いつもわたしを守ってくれる晴くんに、いっぱいお返ししてあげたい……」
ユキの青い瞳が甘く蕩ける。
彼女の瞳に映っているのは、きっと小学生の頃の記憶だ。
いじめられていたユキを俺が助けて、それから一緒に過ごすようになった二人の思い出。
ユキは以前にも俺に恩返しをしたいと言っていた。
この膝枕も単に俺をドキドキさせたいだけじゃなく、恩返しの一貫という事なんだろうか。だからユキはこんなにも優しく俺を甘やかしてくれるのかもしれない。
「ありがとうな、ユキ。俺、今本当に幸せだよ」
「もっともっと幸せにしてあげますからね。よしよし、なでなで……」
ユキは俺の頭を撫でながら、柔らかな太ももで包み込んでくれる。さらさらと流れるような銀色の髪が俺の頰に触れ、花のような甘い香りがふわりと漂ってきた。
甘く優しい声に心を溶かされ、ユキの温もりに包まれる幸せなひと時。
窓から茜色の光が差し込む中、それは日が暮れるまでずっと続いていた。
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