第120話 怪老の脅威
スキル≪オールドマン≫の≪広範囲吸精≫は強力だが、欠点も多い。
半径15メートルほどの球形の効果範囲は、あまりにも広すぎて敵味方の区別なくすべてを巻き込んでしまうし、自分からの距離の遠近で老化の速度に強弱が付いてしまう。
特定の対象を殺さずに生かす、あるいは優先して仕留めたいときなどは、今回のようにどこかに潜むなどして、自分の位置を移動しなければならない。
こんなときに、たしか最初に殺めた野盗から奪い、使ううちに育った≪忍び足LV3≫が役に立つ。
ちなみに、「魔導の書」による自身の現況は、ここに来る前に見た時にはこんな感じだった。
名前:ショウゾウ・フワ
年齢:25
性別:男
レベル:34
種族:人間
契約神:魔導神ロ・キ(闇魔法契約済み)
契約魔法:火魔法、地魔法、水魔法、命魔法、風魔法、光魔法
属性素質:火、地、命、風、水、光
スキル:異世界言語LV2、オールドマンLV3、忍び足LV3、怪力LV2、掃除LV1、魔法適性LV5、鑑定LV1、格闘LV2、売春LV1、恐喝LV2、物乞いLV1、薪割りLV1、釣りLV1、皮革加工LV1、鍵開けLV1、どこでも安眠LV3、シラミ耐性LV2、仕掛け漁LV1、悪食LV2、調理LV1、性技LV1、暗算LV1、軽業LV2、乗馬LV1、歌唱LV1、代筆LV1、
年齢は、どうやら自分という人間の肉体が完成したのがこの25歳頃であったようで、これ以後はいかにスキル≪オールドマン≫で命を吸っても若返ることは無くなった。
そして、その代わりに相手から奪った生気が、本来の生命力の上限を超えて蓄積していくような感覚があり、かすり傷程度であればほとんど瞬時に治ってしまう体質になったようだった。
睡眠時間も短くなり、身体は全くの疲れ知らずになった。
「グロア、もう出てきてもいいぞ。これ以後は、≪
「魔導の書」の表紙に浮かび上がった≪従魔の刻印≫に手を当て、声をかけると、すぐ近くの空間から、闇の塊が出現し、そこから≪獣魔≫グロアが這い出てきた。
ショウゾウは、グロアに、荷馬車の荷台のホロの中に積んで隠しておいていた死体と、辺りに転がっている死体を一か所に集めて焼くように指示を出した。
老化した死体を≪光≫の連中に見せたくなかったのもあるが、今回は見せしめの意味を込めて、あえて目立つように処理することにした。
このオルディン神殿から外部に捜索に出た部隊の動きは、その一部始終を≪蟲魔≫アラーニェによって把握されており、その全員が、すでにショウゾウによって個別に始末されていた。
つまり、この場所に戻って来る神殿騎士はもう一人もおらず、この哀れな死体で作る焚き火の炎は、これから神殿内から逃げ出て来る聖職者たちの脳裏に焼き付かせるためのものだった。
これだけ派手に暴れてはもうこそこそしても仕方がない。
むしろこの神殿騎士たちを動かしている者たちに、儂の脅威を思い知らせてやろう。
儂やその周りの者に危害を加えようとすればどうなるか、このオースレンの虐殺で、とくと学ぶがいい。
ショウゾウは、アラーニェに新調させた小剣を腰から抜き、神殿の方へと急いだ。
さきほどの≪
「さて、怪老ショウゾウなどという勝手につけられた不本意な
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