第65話 命の根源、命の手触り

名前:ショウゾウ・フワ

年齢:58

性別:男

レベル:15

種族:人間

契約神:魔導神ロ・キ(闇魔法契約済み)

契約魔法:火魔法、地魔法、水魔法、命魔法

属性素質:火、地、命

スキル:異世界言語LV1、オールドマンLV2、忍び足LV2、怪力LV1、掃除LV1、魔法適性LV2、鑑定LV1、格闘LV1、売春LV1、恐喝LV1、物乞いLV1、薪割りLV1、釣りLV1、皮革加工LV1、鍵開けLV1、どこでも安眠LV2、シラミ耐性LV1、仕掛け漁LV1、悪食LV1、調理LV1、性技LV1、暗算LV1、軽業LV1、乗馬LV1、歌唱LV1、代筆LV1、掏摸すりLV1、演技LV2、剣技LV2、捕縛LV1、裁縫LV 1、札占いLV1、刃物研ぎLV1、舞踊LV1



スキル≪オールドマン≫がLV2になった。


一気に精気を吸い尽くしてしまうということはせず、加減して少しずつ、より多くの人間から奪うようにした結果、スキルの使用頻度はかえって以前よりも増え、その経験がスキルの熟練を深めたのかもしれない。


ショウゾウは、養老院 ようろういん以外でも、街の食堂や酒場、冒険者ギルドなどありとあらゆる場で人々の精気を吸い、己が糧としていた。


完全に命を吸いきってしまうのはもうすでに老人になっている者だけ。

老人が老衰しようともそれは自然なことで、誰にも不審に思われることは無い。



スキル≪オールドマン≫のレベルが上がったことによるものか、体験の積み重ねによるものかわからないが、精気に関するある発見があった。


精気は一様ではなく、その吸収の段階によって種類があるようだった。


まず最深部に命そのものとも呼べるような何かが存在し、その周囲を濃い精気が覆っている。

その外側に行くにしたがって徐々に他の何かが混じった薄いものになっていくのだが、さらにその表面には上澄みのようなものもあって、これをショウゾウは生気エナジーと呼んで区別することにした。


スキル≪オールドマン≫はまずこの生気エナジーから吸収する。

この段階でやめると相手は疲れたり、無気力になったりするのだが、ここからさらに継続して吸収すると相手の老化が始まるのだ。


老化が進み、精気が尽きるとその奥にある温かい何かに触れることができる。

その何かを吸いきってしまうとその者は死を迎えてしまうようなので、ショウゾウはこれを≪命の根源≫であると定義付けた。


精気の段階に細かく定義付けを行ったのは、スキル≪オールドマン≫をより精密に扱うためだ。

漠然と使用するのではなく、意識してその力をコントロールすることで、よりこのスキルを自分の手足のように自在に扱えるようにしたかったのだ。


この≪オールドマン≫の力にはまだ先がある。

LV2というからには、3だってあるだろうし、さらにその上の段階だって存在するはずだ。


LV2になって≪オールドマン≫は、その吸収速度が上がったように感じた。

そして先ほどの説明の通り、相手の精気に対する感度が上がったのだ。


その他にも何か秘められた力があるのかもしれないが、≪魔導の書≫はなぜか相変わらずその能力の詳細についてはを切っていて、明かそうとはしてくれない。

現時点では、自分で色々試すほかは無いのだとショウゾウは自身に言い聞かせ、更なる力を求めようとする己の欲望をなだめていた。



五十八歳の頃の若さを取り戻したショウゾウは、≪老魔の指輪≫を外した、今の己の真の姿で夜の街を探索してみることにした。


いつもの魔法使い然とした姿ではなく、新たに購入しておいた富裕層が身に着けるような少し上等な服を着て、腰には小剣を下げた。


いつもの服装一式は≪魔法の鞄マジックバッグ≫に入れ、それは上等なマントの下に斜め掛けして下げる。


「ふむ、悪くない」


ショウゾウは鏡に映る己の姿を眺めながら、呟いた。


皺もだいぶ減り、肌の張り、艶はかなり良かった。

目はだいぶ当時の自信と活力を取り戻したかに見え、背筋も伸びている。


これなら八十を超える普段の姿のショウゾウと同一人物であろうとはだれも思わないのではないか。


幸いここしばらくの間、領主あるいは息子のルカの指示によるものと思われる尾行は姿を消している。

それにもし仮に尾行がついていたとしてもこの姿であれば、まず本人だと気がつかないのではないだろうか。


少し軽はずみな行動であろうかと思わないでもないが、今のこの姿を見て人々がどういう反応をするのか、好奇心が疼いて仕方なかった。


部屋がある二階から階段を降りて、出口前の通路を往くと宿屋の主人の娘とすれ違った。


一瞬目が合ったが、特に気が付いた様子も無く、会釈して通り過ぎた。


まだ日は暮れたばかり、泊り客に用があって来た人物が帰っていくのだろうとでも思ったのかもしれない、出入り口付近の受付にいた店の主も用心棒兼下働きの大男もこちらを見たが特に声などはかけてこなかった。


気を良くしたショウゾウは意気揚々と扉を開け、夜の繁華街の喧騒の中に消えていった。









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