第17話 ティーチャーズ
「こちらの方々が、ショウゾウさんを迎え入れても良いと言ってくださる≪
冒険者ギルドの受付嬢ナターシャが紹介してくれたのは男だけで構成された四人組のパーティだった。
年齢は四十代から五十代。
使い込まれた装備品と年齢相応の落ち着いた物腰、その
「やあ、ショウゾウさん。私は≪
マシューの紹介にメンバーたちが愛想の良い笑顔を浮かべて、歓迎の意思を表していた。
世間的な第一印象としては悪くはないのだろう。
だが、初対面の頃の≪希望の光≫を思い返せば、その態度はかなり不自然な気がした。
説明を聞いていたにせよ、高齢者でしかも新人の冒険者をこれほど歓迎する理由が今のところ見えてこない。
やれやれ、仕方ないといった感じがまるでないのだ。
「丁寧な挨拶、痛み入ります。ショウゾウです。ありがたいことに、お仲間に加えてくださるということでしたが、本当に儂のような年寄りで大丈夫でしょうか。高齢の上に新人で、特に取り柄もないのですが……」
「全く問題ないですよ。私たちは全員、ギルド本部のトレーナー資格を持ってますし、新人冒険者を一人前に育てるという目的で結成されたパーティなのですから。もっとも命にかかわることなので指導は厳しく、半数は途中で逃げ出してしまうんですけどね」
マシューは歯並びの良い白い歯を見せつけて豪快に笑った。
「トレーナーというのは?」
「ショウゾウさん、それについては私が説明しますね。ここオースレンにはまだいないんですけど、現役を退いた冒険者人材の有効活用と新人冒険者の育成を考慮して本部ギルドが新たに取り組み始めた比較的、新しい制度なんです。≪
「四日前にこのオースレンに来たばかりなのだがね。観光を楽しみ、そろそろ活動を再開しようかと思っていた矢先にショウゾウさんの張り紙が目についたってわけだ。失礼だが、とても御高齢でいらっしゃる。そうであるにも関わらず、この危険な冒険者稼業に挑戦なさろうとしているでしょう? 教師魂が不覚にも疼いてしまったというか、お節介を焼きたくなってしまってね。もし、ショウゾウさんさえよろしければ、僕らのパーティに加わって見てくれないだろうか。こんなレアケース、僕らとしてもトレーナーとしていい経験が積める気がするんだ」
何だかよくわからんが、一応話の筋は通っている気がしないでもない。
儂を育てることで実績面で評価されたり、何か旨みがあるのかも。
この世界のことについて、まだわからないことだらけなので、儂にとっても悪くはない話である気がする。
どの道、年寄りにとっては危険と不安が常に付きまとうような現状には変わりないのだから、すこしリスクを取って、挑戦してみるか。
「皆様さえよろしければ、こちらから、ぜひよろしくお願いします」
ショウゾウは深々と頭を下げて、マシューが差し出してきた手を握った。
いざとなればスキル≪オールドマン≫もあるし、まあ、何とかなるじゃろう。
こんな未開な文明の、十分とは言えない治安の状況で、儂の様な老人が孤立し、一人でうろついているよりかはだいぶマシになるはずじゃ。
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