第2話 樹海の足音
かなり前の話になるのですが、週末の仕事が終わった後、友人と集まって河口湖に行こうかという話になり19時に男3人で車で出発して河口湖を目指しました。
車のドライバーはというと全工程を100とすると、そのうち私が60、サトシは30、アサトは10を運転する。
私とサトシが就職して間もなく、アサトは大学生である。 なので全員金銭的に余裕がなくガソリンに大半を取られてしまう。
そうやって22時頃に河口湖に到着したが、かなりのお店は営業終了していたが、観光地だけあってそんな時間でも人通りはあった。
河口湖に着いてから少し歩いてコンビニで夕食を買って食べたら眠気が出てしまい危ないので車で仮眠を取る。
アサト「車内での仮眠なので3時間位で目が覚め眠れないから移動する?」
サトシ「でもこの先は樹海通るけど大丈夫?」
私「いやいや違うルートにしようよ」
アサト「樹海避けるとかなり遠回りの迂回になるし最短距離のが良くない?」
アサトとサトシが地図を見るとかなり大回りで迂回しなくてはならないと話していた。
しぶしぶ樹海ルートに行く事にした。
西湖に寄ったが時間も深夜2時近いのでなかなか雰囲気があり少し停車してすぐに出発する。
当時は深い森の中の一本道で道は開けていたが樹海側(森)を見ると木と木の間が真っ暗で闇というのか絵の具で塗った黒というかあれほどにまで真っ暗な黒い闇はお目にかかった事がなかったので更に緊張感が増した。
車の乗車配置は私が前列右側でドライバー、アサトは前列左側で助手席、そしてサトシは後部座席中央にいた。そしてサトシはすぐに眠りに落ちた。
私「やはり寝たかサトシ」
それでもアサトは眠そうだったが、かろうじて起きていた。氷穴か風穴を過ぎたあたりでアサトがポツリと言う。
アサト「さっき左側を人が歩いていたよね?」
私「ハッいないでしょ?しかも深夜2時過ぎにこんな所を一人で歩かないでしょ?」
アサト「いや確かにいたよ。 女の子がセーラー服着て歩いていたよ」
私「嫌な事言うなよ」
次の瞬間私の全身に寒気が走り、足から頭の先まで鳥肌が立った。怖がると更に怖くなるし悪循環は断ち切らなくてはならない。
弱気になったら駄目だ。まだ樹海だし頭を空っぽにして「無」にする事にした。普段から瞑想はしていたので無になるのは簡単に出来た。
車を運転しているし完全に無にはなれないが余計な事は考えなくなる。相変わらず全身鳥肌は継続中だが、気持ちは徐々に落ち着いてきた。
この時に感じたのは気持ちは落ち着いているのに鳥肌が継続中なことはこの時が始めてである。アサトが樹海真っ只中で何故そんな事を言うのか言いたい事はあるが、今はここを抜ける事に集中しよう。
その後樹海を抜けてしばらく車で走行していたがかなりの時間が経過してからやっと鳥肌はおさまった。
そして夜の樹海ドライブは終わりをつげた。
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