空き部屋
そんな、空気が
「ひまちゃん、あのね・・・これ。みかと、おにぃちゃんからプレゼント!いつもありがとう」
差し出されたのは、
「わあ!ヒマレの好きなウサちゃん。こちらこそ、仲良ししてくれてありがとう」
二人は、ひしっとハグをする。
そんな様子を大目に見ていると、互いに背中を
「散れ」
俺は後ろから妹の身体を
「そっか。チカも一緒に作ってくれたもんね。おいで」
何を勘違いしてるのだろうか。
「さて。そろそろ姉貴の家に行くぞ」
「はいはい」
渋々というように
しかしそれを聞いた
「いっしょにあそべないの?」
「ぐっ」
「お、お姉さんは押しによわくて。チカ〜」
二人からの頼み事に板挟みになった
「そうだな。夕飯の前に帰れたらな」
「ん〜」
「チカ兄のいけず」
「お前に言われたかねぇ」
すると、リビングでパソコンを起動していた母が訊ねた。
「
「いい。眠くぁ・・・ないもん」
「あくびしてるじゃないの」
母が笑いながら突っ込む。どうやら、お昼寝という言葉を聞いて、眠気を思い出したようだ。
「
「うん・・・」
「あら、もしかして
「ええ、そうなんです。チカがどうしてもって言うので。ワタシに任せてくださいね」
(おい)
「ほんと何から何まで・・・そうだ。
「はい
「やったぁ!ひまちゃんといっしょにおやすみする」
「ねー。パジャマパーティーしよう」
(全く、隅に置けない奴だな)
「そうと決まれば。チカ!」
「うぉ」
「さっさと行くぞオラァ」
リビングの扉を丁寧に開き、2階へと連れ出された。
◆◆◆
「わー懐かし。あっちに机あって・・・。こっちで、ままごとしたっけ」
「そうだな」
久しぶりに、自室の隣へと足を踏み入れると。
あるのは、窓から射し込む陽の暖かさだけで。
かつて居た姉の雰囲気を、どこか求めてしまった。
家具は全て取り払われ、殺風景な空間ではあるものの。ゆくゆくは、
「昔はもっと、広く感じたのにな」
物を運ぶと聞いていた
「わかる。俺の部屋と一緒なのに、天井が低くなってる」
「・・・それは、身長が伸びたからでしょ」
背を向けたまま言葉を返した。
俺は、春に行われた身体測定で165cmを記録した。これは、上級生に紛れても違和感がない、くらいではある。
「なぁ、ニカちゃん家ってさ」
「?アパートだよ。1Kの」
「そっか・・・」
クローゼットの中には、ダンボール箱やビニール袋が、棚の3分の2ほど埋まっていた。
既に、日常生活で使う必需品は運び出されているため。これらは
「急ぎじゃないんだよね?」
「そう、持って行ける分だけで構わないから。母さんが、
「あーね・・・」
姉のひとり暮らしは、進学を機会に始めたから・・・かれこれ3ヶ月は放置していることになる。
こうして優先順位が低いものほど、後回しにされるのだ。
「オレも夏休みに部屋、片付けっかな・・・」
「とか言いながら。姉貴のお下がりを
「わかってんじゃん。でも、それとこれは別」
「参考に、隣でも見ていくか」
俺は、左側の壁を指差した。
「は?ミニマリストの部屋なんて、見なくともわかるわ」
「みに?」
「必要最低限の持ち物で暮らす、スタイルのこと」
「へー。・・・必要以上の物って何?」
「ねー。家の物って、使うからあるんだもんねー」
同調した
「あれ、姉貴みたいに困ってたりするのか?手が
「・・・そうします」
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