月夜の雲

  あたしは満月の夜に糸のような雲を眺めていた。


 満月の銀色の光に照らされて雲は虹色に輝く。


 昼間の虹ではない。


 いわゆる月虹に近いものだ。


 明るさはないかもしれないが。


 不思議と見ていて癒やされる。


 惹きつけられもするのだ。


 ちょっと妖しげでもあるか。


 この月夜に花を見たらまた違うだろうな。


 そんな事を思いながら人気のない公園をそぞろ歩く。


 静かで心地の良い夜に。


 たった一人で月夜を愛でる。


 雲はいつの間にか風で流されていた。


 ちょっと寂しくなりながらも足を進めたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

言葉のおもちゃ箱 入江 涼子 @irie05

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ