第4話
「私の妹が行方不明なんです」
ローズ嬢の淹れたお茶が全員分テーブルに置かれ、椅子へとみんなが座って一息ついたタイミングでラミリスが口を開く。
「騎士団にも捜索のお願いをしたんですが、忙しいのか軽く流されてしまい……もう、いなくなってから一週間にもなるんです!わ、私……ッ!心配で心配でッ!」
徐々にラミリスの言葉に力がこもり、語気が強くなっていく。
「妹の捜索を手伝ってくれませんか!?」
「私たちは生徒会。生徒たちの切実な頼みであれば当然、承るわ」
ラミリスの言葉にローズ嬢は優しく頷く。
「ありがとうございます!」
「ふ、ふふん!私たちの力を借りられる事に感謝しなさい!私たちが付けばもう百人力よ!」
「さすがヘラ様です!」
僕がのんきにお茶をすすっている横で女子三人がやる気を漲らせる。
「……それでも、私の妹は生きてるのでしょうか」
そんな中で、ラミリスがボソリとどうしようもない不安の種を口にする。
「「……っ」」
それに対してヘラとローズ嬢は言葉に詰まり、答えを出すのに窮する。
行方不明となってから一週間。
客観的に一般人の感性で考えると、生存は絶望的とも言えるような状況にあった。
「死者はおらんはずだぞ?」
ヘラたちの中で重苦しい雰囲気が漂い出す中、ずっとお茶をすすっていた僕が満を持して口を開く。
「この一週間で王都から出ていった子どもも、死んだ子どももおらん。どんな姿になっているかはわからないが、少なくとも生きてはいる」
「……え?」
僕の言葉を受けて全員がこちらへと視線を送ってくる。
「ほ、本当ですか!?」
「余は嘘などつかん。余の魔導具の力によって確認したれっきとした事実だ。間違いなど無い。まだ間に合う」
食い気味に上げたラミリスの疑問の声に対して僕は力強く頷く。
「さ、さすがね……」
「その魔導具でラミリスの妹の居場所がわかったりはしないかしら?」
「それは無理であるな。王都内すべてを監視するのは無理であるし、死者の判別は魂が空気中にあるかどうかでの判断となる故。王都内で何が起こっているかまでは正確にわからん。死んでいる者がいればまた別なのだが」
僕はヘラの言葉に首を振りながら答える。
未だに王都のすべてを監視出来るような監視網は構築出来ていなかった。
ラインであれば実験的にではあるが、すべてを監視するためのシステムを構築出来たんだけど、王都ではもうちょっと時間がかかりそう。
「そう。まぁ、でもまだ生きているっていう情報だけでかなりデカいわね。希望が出てきたわ」
「うむ。一先ず余は騎士団の連中に情報がないか尋ねておこう。事件について何も知らぬわけはないだろうからな」
「大丈夫かしら?」
「問題ない。そこまで余と騎士団の関係は悪いわけではない」
「それなら任せるわ。じゃあ、私たちは別のことをしましょうか。聞き取りに汎用魔法での調査かしらね?」
「えぇ、そうなってくるわね」
「皆さん……ありがとうございます!」
サクサクとやることが決まっていく中、ラミリスが僕たちに向かって頭を深々と下げる。
「別にこれくらい当然よ。生徒会は全生徒の味方だからね。さぁ、みんなで頑張りましょうか!」
深々と頭を下げるラミリスに対して優しく声をかけたローズ嬢はそのまま両手を握り、みんなを鼓舞するように口を開くのだった。
あとがき
ひゃっはぁぁぁぁあああああああああああ!!!レビューじゃい!じゃい!くれた二人に感謝、感謝ヤミー!!!うぉぉぉぉおおおおお!!!ありやでぇ!
もっとだぁ……もっとレビューを。
本当にくれた人あざます。
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