第3話

「ほら、ローズ嬢よ。言われていた通りの魔道具を制作したぞ」

 

 僕とローズ嬢しかいない静かな生徒会室の中で黙々と進めていた作業の手を止め、僕の隣で事務作業をしていたローズ嬢へと声をかける。


「あら?もう出来たの?」

 

 僕の言葉を受けたローズ嬢が書類仕事を行っていたその手を止めてこちらの方へと視線を送ってくる。


「これくらい造作でもない」


「アルスくんはやっぱりすごいのねぇ」


「ふんっ、これくらいさしたる労でもない。早々にテストをしてしまいたい。紙はあるか?」


「えぇ。あるわよ」

 

 ローズ嬢は僕の言葉に頷き、紙を取り出す。


「うむ。それではその紙をこの箱にこの紙と同じサイズに切り……」

 

 僕は自分の代わりに雑用をローズ嬢にやらせていく。

 別に雑用を強制しているわけじゃないよ?僕が女を侍らすことを良しとしないローズ嬢が率先した僕が囲む女の代わりに雑用を行うと志願しているだけで。


「うむ。しかと機能しておるな」

 

 五分程度の実験の後、僕が今回作った魔道具がしっかりと機能していることを確認した僕は満足げに頷く。

 今回僕が作った魔道具は生徒会選挙のせいに使うもので、箱の中に入れられた投票用紙から自動で票数をカウントしてくれる魔道具である。


「それにしても、よくこんなの作れたわね。本当に凄いわ」


「そこまで難しい機構なとつけておらぬからな」


 仕組み自体は非常にシンプルだ。

 ただ加筆された部分を魔法で読み取って記録するだけ。

 こいつは学園の備品としてこれからも使っていくことになるため、サクラの瞳など使えない。

 誰でも使えるレベルの魔力消費量に抑えてもある。


「簡単なものも作るのは至難の業なのよ。ありがとう。これで毎回苦労する票数の集計が容易に出来るようになるわ」


「それであれば良かった。ふむ、これで余の仕事はひとまず終いか」


「えぇ、そうね……でも、時間あるなら私の仕事を手伝ってくれても良いのよ?」


「うむ。では、手伝うとするか。最近余の仕事も減少しつつあるからな。部下が育つのは何であれよいものだ」


「それなら良かったわ……そ、それじゃあこれをお願いしていいかしら?」


「うむ」

 

 僕がローズ嬢の言葉に頷き、書類を受け取ろうとしたタイミングで生徒会室の扉をノックする音が響き渡る。


「どうぞ」

 

 それを受け、ローズ嬢へすぐさま毅然とした表情を浮かべて口を開く。


「失礼します」

 

 ローズ嬢の言葉を受けて生徒会室の扉が開かれて一人の少女が入ってくる。


「お、お初目におかかります……ファーストクラス所属、一年生のラミリスです」

 

 入ってきた一人の少女。

 黒と白という特徴的な二色の髪色のしたツインテールを持つ可愛らしいその少女はラミリス。

 サードクラスへと例外的に所属する侯爵家の僕とは対照的にファーストクラスへとその天才性ゆえに例外的に所属する子だ。


「そんなに緊張しなくても良いわよ。この学園では身分の差は不問よ……少なくともここではね。さぁ、私たちの対面に座って頂戴」

 

 ローズ嬢はラミリスへと自分の前に座るよう促す。


「アルスくん、お茶を汲んでくるのは……私がやるわね」


「うむ」

 

 僕はローズ嬢の言葉に対して横柄に頷く。


「わ、私がやりますよ!?」


「いえ、良いわよ。これも一種の趣味の一つよ」

 

 慌てて立ち上がるラミリスに対してローズ嬢はあくまで穏やかに返す。


「それじゃあ用件を聞こうかしら?」


 手際よくお茶を淹れる中、ローズ嬢がラミリスへと優しく疑問の声を向ける。

 そんなタイミングで。


「今日も来たわよー!」


 元気よくヘラが生徒会室の扉を開け、中へと入ってくる。


「って、あれ?なんでラミリスがいるの?」


 ラミリスと同じクラスであるヘラは生徒会室にいる彼女のことを見て首をかしげるのだった。




 あとがき

 おんぎゃー!!!フォローを!星を!レビューを!

 くれたら作者のモチベが回復!作者元気になる!うぉぉぉぉおおおおお!!!

 まぁ、くれなくとも僕は書くけど。

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