第11話 クラスメイトと序列
「ここかあ」
なんとか乗り越えた入学式も終わり、クラス表を見ながら指定の教室へ。
俺は入口で足を止めると共に、思わず
「すごい……」
目の前にあるのは、左右にも大きな赤い扉。
世界中から集まる学院だし、バリアフリーにも気を付けているのかな。
そんな感心をしながら教室の扉を開く。
「……!」
その途端、広がった景色に俺は思わず目を開く。
大きな黒板と
椅子や机もなんだか高そうだし、全体的にも整った教室だ。
すごい!
これが憧れていた「学校」なんだ!
「えと……」
そんな教室内をぐるりと見渡す。
すでにそれなりの生徒が座っているみたい。
なんだか視線を浴びてる気もするけど……首席だったせいかも。
俺のクラスは『Sクラス』。
全20人の構成で、クラスは上からS・A・B・Cまであるとか。
一番上のクラスになってしまったらしい。
「ちょっと、入口で止まらないでくれるかしら」
「ん?」
そんな時、後ろから声が聞こえる。
聞き覚えのある声と言い方に、嬉しくなって振り返った。
「ニイナ!」
「……っ! あなたねぇ!」
「よかった、ニイナも受かったんだね!」
「ちょっ、話を聞きなさいよ!」
前
そんな俺たちに周りがざわつき始める。
「あいつ、ニイナ様を呼び捨てにしたのか!?」
「仲良いのか……?」
「でも、あいつ貴族じゃないんだろ?」
「てことはまさか、秘密の関係?」
そんな会話が聞こえたのか、ニイナは顔を赤らめて指を指す。
「……っ! ほら、あなたのせいで勘違いされてるじゃない!」
「ご、ごめん。でも色々教えてくれたり……」
「あれは嫌味で言ったのよー! あなたを
若干息切れしたのか、ため息をつきながら胸の前で腕を組むニイナ。
それから、彼女は横目で伝えてくる。
「何の間違いか知らないけど、首席だからって調子に乗らないことね。あなたとは、と、と……」
「ん?」
「友達になる気なんかないんだからっ!」
「……!」
がーん!
またも断られてしまった。
ニイナは「ふんっ」と言いながら、金色に輝く長い髪をなびかせて歩いて行く。
「うっ……」
ニイナは良い人だと思ったんだけど。
人を近づけないのには、何か理由があったりするのかな。
「ふふっ」
「ん?」
また、すぐ隣から聞こえた控えめの笑い声。
透き通ったような優しい声だ。
「本当にそういう感じなんだ」
「あ!」
振り向いた瞬間に分かる、見覚えのある女の子。
その特徴的なフード付きのコートは忘れるわけがなかった。
「俺と街で出会った、よね?」
「うん」
女の子は、フード部分のを下ろして目を合わせてきた。
「!」
先が外にはねた、明るい栗色のショートカット。
その前髪は左目を
ファッションってやつなのかな。
体が小さくて
腰に細い剣を差しているから、剣士さんかも。
「私は『シンシア』。君はグラン、だよね」
「うん! よろしくね!」
「こちらこそ」
シンシアは可憐な声で答えてくれる。
彼女とはすぐに仲良くなれるかも!
「ねえシンシア、よかったら──」
「おいお前ら、早く席につけ」
「!」
シンシアに話しかけようとした瞬間、前側の扉から低い声が聞こえる。
同時に入って来たのは、先生らしき人だ。
その人はこちらをギロリと
「入学式は終わった。お前らはすでにディセント学院生だという自覚を持て」
「!」
「分かったらその辺に座れ。席は自由だ」
「は、はい!」
「はい」
俺とシンシアは返事をして、すぐ
全員が座ったのを確認して、その人が話を始めた。
「まずは入学おめでとう。俺はこのクラスの担任だ」
やっぱり先生だったみたい。
それもクラスを受け持つ担任の先生だ。
だけど、
「……」
第一印象は先生らしくない人。
あごの髭は
思っていた感じとは違う……とは言っちゃダメだよね。
「本来なら俺の自己紹介から始めるところだが」
「?」
「四の五の言わず、まずはこいつを確認しろ」
そう言うと、先生はバッと大きな魔法紙を黒板に広げた。
書いてあるのは……数字と、名前?
「ここに書かれているのは、お前ら一年Sクラスの『序列』。入学試験の結果から、現時点での評価を表したものだ」
「!」
先生にそう言われ、もう一度じっくりとその魔法紙を凝視する。
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ディセント学院 一年Sクラス『序列』
1 グラン
2 エルガ・ミリウム
3 ニイナ・アリスフィア
4 シンシア
・
・
・
20 ゴラーク・ディスラーク
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「!?」
その『序列』には、色んな意味でびっくりしてしまった。
だけど、これだけでは終わらない。
「せんせー」
「なんだ?」
クラスの前の方、一人の男子生徒が手を挙げた。
「俺、この順位に納得いってないんすすけど」
「ほう。具体的には?」
先生が目を細めながら聞き返す。
それに答えるよう、男子生徒は俺の方をぐるりと向いた。
「『序列戦』って言うんでしたっけ。とにかく……俺があいつに勝ったら、一番でいいすか」
「!」
威嚇するような目付き。
男子生徒はすでに戦いを始めているかのような表情だ。
「でも、いきなりそんな──」
「いいだろう」
「え」
俺が否定しようとしたところ、先生がニヤリとした表情で口を開く。
「そういう姿勢は嫌いじゃない。序列
「あの、先生……」
「全員闘技場に集合だ」
「ええー!」
そうして入学早々、いきなりの対決が決まってしまった。
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いきなりの対決!
相手である序列二位のエルガ君は、前話の最後に登場したギラリとした少年です!
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