第21話 検査
「待て待て待て血液検査なんて聞いていないぞ」
「ふつうするだろ」と星灯が当たり前と言わんばかりの反応をしながら俺を見る。
連れてこられた医務室には秋音がいた。
看守かと思っていたがいつも医務室にいて、けがした人の手当てなどをするんだという。
「お前逃げんなよ。逃げたらもっと痛いからな」と秋音が注射器用意しながら言う。
「いや聞いてないって。そんな血液検査するなんて聞いてないし」
「じゃないと血液中に不純物があるかもしれないだろ?」
「これはこいつにとっていい鉄槌になりそうだな」
と星灯がニヤニヤ笑ってる。
「ほら準備できたからそこ座れ」
「やんなくてもそんな毒ぐらいで俺死なないし、やらなくてよくね?」
「黙って座れ。ほら刺すぞ」
「言葉遣い荒いな...イテッ」
「黙れすぐ終わる。ほら終わった」
「痛かった。てか結構血取ってくな」
そんな俺を見た秋音がこう言った。
「...まぁ尾崎よりはましだな」
「え、あいつどんな感じなんだ?」と俺が聞くと、
「なんとか言い訳して逃げようとするし、針入れようとしても腕に力入れてうまく入らないようにするな。なんなら看守長という立場使って
血液検査とかできなくしようとしていたし」
「あの尾崎がか?」
星灯が笑いをこらえながら聞く。
「あぁそうだな。あいつが一番めんどくさい」
「へーそうか。じゃあ今度尾崎にそれ話してやろうかな」
と星灯が言う。
「それ言うと尾崎めっちゃ慌てるぞ。あ、検査結果出たぞ。なんもない。正常だ」
「ほらいったじゃん。大丈夫だって」
「規定だからな。んじゃ星灯とかと話あるんだろ?行ってこい」
「そうだな。瑠樹とかはもう終わったんだからあとお前だけだ。ほら
いくぞ」
星灯が俺を呼んできた。しかし行くのは正直めんどくさいし、別に悪いことをした
つもりはない。
「別に俺悪くないし、いかなくてもよくね?」
「...秋音もう一回やってやれ」
「おっけー」
そういうと秋音はもう一回注射器を出してきた。
さすがにもう一回はたまったものじゃない。
「わかったって。行くからそれしまって」
「んじゃほらいくぞ」
ふっと笑ったように星灯は言った。
そして星灯とのお話が終わると、蒼が待っていましたかのようにこちらへ近づいてきた。
「聞いてくれや!僕の作っとった薬が褒められてん!毒薬やらは没収されたけどそれ以外の薬の研究は許可されてん」
「お、よかったじゃん。じゃああの部屋は封鎖されないってことか?」
「そんなんやな」
「よっしゃー」
「もしかしてまた手伝うてくれたりする?」
「んーものによるな」
「わかったで」
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