第20話 お話

しばらく瑠樹は蹴り合ったり、能力を使ったりして、海良の足止めをしていた。

すると海良が突然こんなことを言い出した。

「こんなことしてて、いつかは終わるのにいいの?」

「お前らが手荒な真似するからだろ」

「そうでもしないとここではやっていけないって。だって君たち凶暴じゃん」

「全員がそうとは限らないし」

「じゃあ手荒な真似しないからとりあえずお話だけ聞かせてよ」

「...話だけな。それ以外の事したら暴れる」

「わかったってば。あの部屋がどんなものなのかが聞きたいだけだからさ。まぁ嘘ついたらわかるけどね」

「わかってるよ」

「やっぱ話が通じる人に限るね」

「俺だって言葉ぐらいはわかるわ」

「じゃあまずは多分今悲惨なことになっているであろう蘭くんのとこ行くか」

「手荒な真似すんなよ」

「さっきしないって約束したじゃん。指切りげんまんでもしたらいいの?」

「それはやだ」

「なんなんだよ。そんなに否定しなくても」

「お前は幼児か」

「ここに入ってきた時点でお前のほうが幼児だわ」

「こっちにだって理由があるんだよ」

「へーへーそうですか」

「...うざいな」

「まぁまぁ後で蘭くんは連れてくるからさ、とりあえずここ入ってて」

そんなことを言いながら海良が牢屋の鍵を閉めた。

「おい、蘭が逃げた方向あっちだぞ?なに壁のほう歩いてるんだ?」

「おっと間違えた。ごめんごめん」

「大丈夫か?」

「大丈夫だ」

「...ふー相手が落ち着く作用のあるウイルスばらまいといてよかった。でもこれヤバいな」

ぼそっと海良がつぶやいた。

「なんか言ったか?」

「いやなんもないよー」

そう言って海良は蘭が逃げたであろう方向へ歩いて行った。

そして蒼の牢屋の前についた時には、蘭が星灯にじりじりと迫られていた。

「本当に蒼は悪いことではなくただ単に好奇心から薬品の研究をしていただけなんだって」

「それにしてもせめて許可をとれ」

「それはそうだけどお前らが邪魔するかもしれないじゃん」

「危ないものでなければ許可は下りるし、ここは大体の事オッケーだぞ?」

「...あれ危ないものだった」

「どんなのだ?」

「毒薬」

「危ない奴じゃねえか」

そんな言い合いをしているのをよそに蒼がゆっくりと逃げようとしている。

「おっとお前は後でお話があるから」と海良が蒼を捕まえた。

そして海良が

「で、さっき蘭くんが言ってた毒薬って何?」と蒼に聞く。

「え、えーとそら...ここに入る前によう作っとったものでして...」

「お前確か毒物及び劇物取締法と殺〇補助で捕まったんだっけ?」

「せや。隠したはずなのに見つかったんやんな。なんでやろ」

「警察も蒼君事睨んでたんじゃないの?」

「なるほどな」

「どんな薬使ってたんだ?まさか実験とかしてないんだろうな?」

「...蘭にお願いして効力確かめてもうた」

「...許可あるのか?」

「頼み込んでOKしてもうた」

「あとで蘭くんの身体検査しないとね」

「そんなんせんでもいけるで」

「だめだよ。潜伏期間あったらどうするのさ」

「それウイルスだけやで」

「ま、そういう規律だからさ」

「星灯くんこっち捕まえたよー」と星灯呼びかける。

「あーわかった。こっちもできるだけ早く終わらせるわ」と星灯が答えた。

「んじゃ、お前は身体検査な。なんか入ってたら即医務室行きだからな」

「絶対大丈夫だから」

「それはわからないな。なぜならお前の無効化できる毒には限度があるからな」

「それでも少量だったから...」

「ダメなものはだめだ医務室言って検査するぞ」

「わかったよ」

「よろしいんじゃあとでお前ら4人の話とあの部屋について教えてもらうからな」

そう言って蒼の部屋の調査や、実験室の調査が始まった。








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