第10話 部屋移動

そういえば俺はここ連日やみくもに脱獄していた。だからなのか、俺の罪も増えたらしい。いや、増えたというかできただな。何増やしているんだよ俺...

たぶんそのせいで部屋が移動となった。

俺が求めてんのは部屋移動ではなくここから出すということなんだが...?あとなんか俺の部屋移動先では担当の看守ができるらしい。驚くべき徹底ぶりだな。そんなことを考えないでほしいのだがそうはいかないようだ。

明日から部屋移動だが、どのような部屋なのだろう。やっぱり壊しにくいのかな?やっぱりこういうときにそなえて看守の鍵もらっといて(盗んどいて)よかったな。

いつの間にゲットしたかというと、最近こういうものを集めるのにはまっててね。

鍵は看守室と、看守が一つずつもっているので、脱獄した回数を忘れないように集めることにしたんだよね。

まぁ、なんか言われて詰め寄られたら鍵を一本だけ渡せばいいしね。鍵の形は隣の部屋とかも一緒だから多分移動先も鍵の形は一緒だろう。変わることは一つ、雑居房から、独房に変わることぐらいだな。だから看守の集中が一人にいくというわけだな。めんどくさいな。

ちなみに部屋移動は明日だ。明日に荷物をまとめてここから出て部屋を移動する。

なので荷物などをまとめていると鈴が「なにしてんの~?もしかして釈放?」と言いながら近寄ってきた。いや釈放なわけあるかよ。「違うぞ、部屋移動になった」「え、まじ?」鈴は少し戸惑っていた。「なんかあるのか?」

「いや、私も部屋移動になったことあるけど、担当の看守さんが意地悪でさ、ちょっと嫌だなーって思って、まぁ嫌だったら戻ってきてもいいんだからね」「どうやって戻ってくるんだよ?」反射的にそう口にしていた。「だってー私知ってるんだよ?君が看守さんから鍵盗んで、それをコレクションしているのをね」

うわ、こいつ知ってたのかよ。俺の脱獄以外の趣味がばれるなんて... 

まぁ、言わないでおいてくれるよね?それに明日は早いらしいから早く寝よう。そう思いながら眠りについた。

翌朝、俺は星灯にたたき起こされた。寝てたのに。「起きたな。それじゃ部屋移動するぞ。荷物まとめたか?」「そりゃまとめたよ。」そう会話をし、雑居房を出た。

一緒に歩いているときに星灯がボソッと「おとなしくしてたら戻れるかもな」と言って来た。たしかに鈴も行ったことがあり、戻ってきているのだからありえなくもない。「そういえば俺の担当の看守はお前なのか?」俺はそう聞いた。

だが、「いや、違うぞ。確か白井という名前だったかな。きれいな白髪の25歳ぐらいの奴だ。能力はいうなって言われたが、結構強いらしいぞ。お前にピッタリぐらいかもな」

...星灯が良かったな。こう見えて俺は人見知りなんだ。

すると星灯がいきなりこんなこといてくれた「なんか寂しそうだな...しょうがないから時間があったら会いに行ってやるよ」「ありがと」あいつも優しいところあるんだな。いや、もともとか。

「ちなみに独房から逃げ出したりしたらどうするんだ?」「お前の場合は白井が追いかけたり、あいつの場合だと足などにけがを負わせたりして逃げにくくされるだろうな」「怖」「じゃあやるな」

そりゃそうかもしれないが、冤罪でここにいるのはごめんだ。逃げたい。

そんなこんなで俺の部屋移動先にたどり着いた。普通に前の雑居房とほとんど変わらないな。

しばらくそこにある布団の上でゴロゴロしていると、「お前か?脱獄しすぎてここに来たっていう馬鹿は」いきなりディスるのかよ。てか馬鹿じゃねーし。

「馬鹿じゃねーし」「同じ事何度も繰り返すのは馬鹿のやる事だろう」「...」

確かに心当たりがないといえばウソだ。だから俺は何も言い返せなくなった。

これで俺の部屋移動は完了した。

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