えちえちすごろくでゴールイン!

「先輩、そろそろ続きしましょうよ」


 ゲームは中盤戦。彼女は合計5枚を脱がされて下着だけになってしまったが、僕はまだ1枚も脱いでいない。


「よーし。……1だ。『性の目覚めの話をして』、かぁ」

「先輩の目覚め、気になります!」


 彼女は下着姿の体を乗り出して聞いてくる。眼の前の2つの膨らみで、僕の記憶も蘇った。


「小学校3年生くらいのときかな。女の先生が前かがみになって、シャツの中の胸が見えたときだった気がする」

「ほら、やっぱりおっぱい大好きじゃないですか。それで、何かあったんですか?」

「あるわけないだろ。肉体的にもまだまだだったし」


 実際、精通が始まったのは中1の時だった。例の先生についてはオカズにすらしていない。みんな、そんなもんだと思う。


*


「私の番。……6ですね。先輩を抜かしました! 『コスプレするならなんのコスプレ?』。これはメイドさんですね」

「へえ、意外というか、普通というか」


「今年の文化祭でもメイドカフェやりたかったんですよ。くじ引きで飲食店を取れなかったのが悔しかったですね」

「飲食店かぁ、僕も一度もやれなかったなぁ」

「でも、お化け屋敷やるんで先輩も来てくださいね! 私もなにかコスプレしてると思うので」


 お化けのコスプレ。ハロウィンでも見せてくれるだろうか。


*


「僕の番。……3だ。『一番興奮したHの経験は?』……だから、したことないって言ってるのに」

「それじゃ、ひとりエッチってことで!」


 彼女が完全にエロオヤジみたいになっている。こんなキャラだったか?


「興奮もなにも、一人でやるものだから別にそういうのはね」


 実際のところは、何をオカズにするかで変わることもある。僕にとって一番は、例のお祭りの夜、彼女の手の感触や、背中ごしに感じた胸の柔らかさや、浴衣越しに透けて見えた下着のラインをオカズにしたときが一番興奮したのだが、これを言って嫉妬されても面白くないので黙っておいた。


「ふーん。ラッキースケベをオカズにして興奮したりとかありそうなんですけどね」

「うるさいよ」


 彼女にはすっかりお見通しのようだった。


*


「私の番。……2ですね。あーん、一回休み!」

「僕の番。……4だ。『好きなAVのジャンルは?』かぁ」


 また答えにくい質問が来てしまった。


「先輩、AVとか見るんですか?」

「そりゃね。ネットの無料動画とかだけど。好きなのはやっぱりJKものかな?」


 コスプレとはいえやっぱり身近な存在が一番だと思っている。


「へえ、てっきり女教師ものなのかと」

「こら」

「冗談ですよ。それにしても先輩、JK好きなんですね」


「っていうか、男子高生はみんな女子高生が好きだと思うよ」

「そういうもんですかね。女子だと高校生なんか子供っぽくて無理とか言ってる子も多いんですよ」

「男子だと、たとえ年上好きでも同年代は無理っていうパターンは聞いたことないなぁ。強がって言う奴はいるだろうけど」


 だいたい、男の「あいつはブスだ」とか「興味がない」なんてのは信じられないものである。同性の手前では意地を張ったりするものだが。


*


「もう一回僕の番。……1だ。サイコロをもう一回振る……2! 『ムラムラした経験を話してください』? 今なんだけど!」

「いま以外でお願いします!」


「そうだな。やっぱり狭い図書準備室とかで、特に夕方で薄暗くなった時に二人きりになったりすると、どうしても期待しちゃってたかな」

「あー、そういう目で見てたんですね。まあ私もですけど。だからこんなゲームに誘ったんだし……ねえ先輩」

「ん?」


「あらためて、遊んでくれてありがとうございます。このまま最後までお付き合いお願いしますね」

「あ、うん」


 再び、ゲームモードからエッチモードに引き戻される。すごろくももう終盤戦だ。


*


「私の番。……5ですね。3マス戻って『好きな体位は?』。うーん、憧れなら対面座位かなぁ」


 あまりにもスムーズに答えたので、逆に僕がびっくりしてしまった。


「やっぱり、好きな人にぎゅーってされながら一つになるのっていいですよね」

「そう、だね……」


 確かにうまく出来れば最高だろうけど、初心者でも大丈夫なのだろうか。


「それに、密着してるから体をあんまり見られたりもしませんし」


 そういう意味では、男性向けのエロではあまり見られない体位だと思う。言われてもどういう形になるのか、すぐにはピンと来なかった。後で調べて見る必要があるか。


*


「僕の番。……1だ。『Hなポーズをする』って、どうすりゃいいんだ?」

「うーん、両手を頭の後ろに、とか?」

「男がやってもセクシーなのかなぁ、まあいいか」


 言われるがままにポーズを取る。ワイシャツの半袖から脇毛が丸見えになることに気づいて恥ずかしくなったが、彼女のほうがずっと恥ずかしい姿をさっきから晒し続けているので、今さら気にすることもないだろう。


「先輩、意外と胸板ありますね?」

「そ、そうなの?」

「ちょっと、触ってみていいですか?……あ、ピクっとしましたね」


 彼女は僕の許可も聞かずに胸に触ってきたので、思わず反応してしまった。


「もう、いいから次いくぞ」


 恥ずかしい気持ちを抑えるためと、早く最後まで行きたい気持ちが合わさって、僕は先を促したのであった。


*


「私の番。……6ですね。『弱い部分を自分で10秒さわる』。うーんと、おっぱいでいいですか?」

「いいも何も、自分の弱いところだからね」

「それじゃあ。1、2、3……」


 彼女はブラの隙間から手を入れて、乳首を触っているようだった。


「……9、10。おしまいです。はぁ……」


 口ぶりは平静を装っているが、彼女の顔がさらに赤くなった気がする。


*


「僕の番。……4だ。『相手のカラダの弱い部分を10秒なでる』」

「弱いところ、バレちゃってますね……」


 なんとも絶妙なタイミングだ。制作者はきっとこれを狙っていたに違いない。


「うん。大丈夫だよね?」

「はい、覚悟はできてますので……」


 僕は彼女がそうしたように、ブラ越しに指を入れようとした。しかし意外とブラが固い。無理やり入れようとしたら壊してしまいそうだ。


「……9、10。はい、おわり」

「うーん……」


 彼女は少し物足りなさそうな声を出す。僕のほうも、ほとんど刺繍部分を撫でただけのようなものである。


「まあ、後のお楽しみってことで!」

「もう、先輩ったら」


 照れ笑いしながら答える。お互い、次の番でゴールに手が届く。


*


「私の番。……4ですね、惜しい。『サイコロの出た目の枚数服を脱ぐ!』」


彼女が止まったのはゴール直前。最後の指令は、脱衣系のコマでも最大級のものだ。最大で6枚も脱がされたら、何を着ていてもほとんど裸だろう。まして、今の彼女は下着しか付けていない。


「えい、なるようになっちゃえ!」

「……6だね」


サイコロは最大値を出した。これで、仮に眼鏡やら髪留めをカウントしても確実にオールヌードになる。


「ついに、このときが来ちゃいましたね」


彼女は背中に手を回してホックを外す。そして左手で胸を押さえながら、両肩の紐を下ろしていく。


「それじゃ、まずは1枚……」


そのまま腕を下ろす。彼女の形のいい胸がその姿をあらわにする。「ぷるん」という音が聞こえた気がした。


「2枚目……」


彼女は立ち上がり、ショーツに手をかけた。こちらを見て、少しだけためらった後に一気に下まで下ろして、脚を抜き取った。最後に、脱いだ下着を、椅子の上に畳んだ制服の下に隠してこちらを向いた。


「ど、どうですか……」


彼女は体を隠そうともせずに全てを見せてくれた。僕は言葉を失った。ぷっくりした乳首も、生え揃った柔らかそうなヘアも、想像よりもずっとエロかった。


「あと4枚、先輩の服脱がせちゃいますね」

「ちょっと待った、そんなルールどこに?」

「いま決めた私ルールです。先輩、まだ1枚も脱いでないのずるいですよ」


彼女は僕のシャツのボタンを脱がし始めた。妙に手慣れてる気がする。


「ねえ先輩、男女でボタンのかけ方が左右逆になっている理由、わかりますか?」

「……さあ?」

「お互いの服をスムーズに脱がせるためですよ。前に読んだ小説の受け売りですけどね。はい、3枚目」


 彼女はボタンを全て外し、脱ぎやすいように襟を持ってくれた。人に服を脱がせてもらうなんていつ以来だろう。


「ほら、バンザイしてください。これで4枚目ですね」


 言われるままに両手を上げると、ポリエステルのインナーを脱がせてくれた。きっと僕の体は汗臭いと思う。こんなことになるのなら制汗スプレーくらい持っていくべきだった。眼の前の裸体は、柑橘系の甘い匂いを漂わせているというのに。


「5枚目。ズボン、脱がせちゃいますね」


 彼女はベルトを外そうとする。男女で左右逆になっているボタンと違って、ベルトを脱がすのには多少手こずっているようなので自分で外す。ズボンを下ろすのは彼女がやってくれたが、ボクサーパンツ越しの膨らみに少し驚いたようだった。


「最後の6枚目、いきます!」


彼女はパンツに手をかけて、一気に下ろす。同時に、僕の大事な部分が開放されて元気に天を衝く!


「わぁっ……これ、ちゃんと入るんですかね?」

「ゴムは伸びるから大丈夫だって」


 「実戦」は未経験だが、保健の授業で配布されたものを試しに付けてみたことがある。コンドームは予想以上によく伸びた。水が1リットル以上も入るほど膨れると聞いたこともある。


「いえ、そっちじゃなくて……なんでもないですっ!」


 僕はすぐに彼女の意図に気づいて、これから起こることを改めて意識するのであった。


*


「それじゃ先輩。いい感じのところ悪いですけど、ゲームはまだ終わってませんからね」


 彼女はゴールの1つ前、僕は3つ前にいる。つまり、この番で僕が上がることができなければ、彼女がこのゲームの勝者ということになる。どちらが勝っても「ごほうび」は変わらない気はするのだが。


「僕の番。……6!」

「……あっ……やっ……んんっ……!」


 コマを3つ進めてゴールした後、残る3マス分として、彼女の唇に3回キスをした。


「もう、先輩ったら……とにかく、これで私は負けなので。ごほうび、受け取ってください」


 彼女はそう言うと、ベッドの毛布を払い除けて仰向けに横たわり、僕に全てを委ねてくれた。


「ありきたりですけど、優しくしてくださいね?」

「うん、僕も初めてだから、上手く出来なかったらごめん」

「ゆっくりでいいですから、ね……」


 ベッドの上で、僕たちは唇と体を重ね合わせるのであった。

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