第4話 運行4 10月7日
今夜も、私が乗車補助をしていた時の体験をお話しいたします。
その日も、夜行バスを待つお客様が多く、休む暇もないほどに働いていました。
次から次へと、乗客名簿と乗車券を照合し、乗り遅れのないように、搭乗を案内しておりました。
それは、あるお客様をご案内していた時でした。
そのお客様は親子連れの方だったのです。
母親らしき女性のお客様は40代頃、同伴者のお子様は、乗車名簿には8歳と記載されていました。
一昔前なら、夜行バスを利用するのは、出張のため夜中も移動するサラリーマンや、旅費を安く済ませたい旅行目的の若者でした。
しかし、最近では親子連れで利用するお客様も珍しくなく、私は通常通りに乗車チケットと名簿の照合をし、バスをご案内したのです。
母親と思わしき女性は、お子様の腕をきっかりと掴み、バスへと乗車されていきました。
そして、窓辺にお子様を座らせていました。
私はなんの肝なしに、バスを見送るついでにお子様へ手を振ってみましま。
しかし、お子様からは何も反応はなく、ただじっと私のことを見つめていおり、バスはそのまま出発しまして。
バスがさってから思い起こしてみると、お子様は終始黙っており、じっと私のことを見ていた気がします。
妙な違和感を覚えつつも、次から次へと乗車案内をしているうちに、そのことも忘れ、その日は仕事を終えたのです。
後日、警察が私のもとへやってきました。
彼ら曰く誘拐事件の話しを聞きたいと事でした。
そして、警察から見せられた写真を見て、私は驚いたのです。
その写真には、例の母親らしき女性と子供が写っていました。
警察からは、写真に写っている子供が誘拐されており、一緒に写っている女性が犯人だと言うのです。
ですので、私はなにかの助けとなればと思い、先日みかけた事をそのままお伝えしました。
「確かに、写真の女性とお子様夜行バスに案内しました」と、続けて「でも、一緒にいた子供は写真の女の子ではく、男の子でした」と伝えました。
それを聞きた警察は複雑な表情をし、「それは、髪を切られ男の子らしい装いをされていたのかもしれませんね」
はたし、私がみたあの子は無事なのでしょうかね。
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