EX① まるで似ていない似た者同士な二人
「おはようございまーっす」
朝、DF社のオフィスにレイナが入って来た。
そこにいた社員たちの何人かと軽く打ち合わせをする彼女は、配信で見せている良い意味での軽薄さはない。
トレードマークのツインテも結っておらず、淡いピンクブロンドの髪をひっつめている。
髪の色が派手だろうと、こういう姿ではあまり目立たないのが不思議である。
服装もピンストライプの入った黒いパンツースーツだ。
そして打ち合わせを終えたレイナはオフィスの奥にあるエレベーターへと向かい、最上階の10階に向かう。
ついたエントランスにはエレベーターが二基見える。
今乗って来た方と、その横に倍くらいの幅の資材搬入用のエレベーターがあるのだ。
配置的にエレベーターホールは建物の中央にあり、左右にそれぞれドアが見える。
向かって右は伊達の住む部屋だ。
レイナはその丁度向かいにあるドアに入っていく。
特に鍵は掛かっておらず、慣れた様子に見える。
中は長い廊下続き、彼女は更衣室に入るとすぐに着替えた。
黒い伸縮素材のスポブラとかなり布面積が狭いTバックタイプのショーツ。
そうなると当然、彼女の見事な肢体が露になる。
その姿のまま彼女が隣のドアに入ると、そこはかなり広いリビングスペースで、採光もよく明るい。
地続きでキッチンが見えるが、そことリビングを区切る様にカウンターがあり、彼女はそこに座った。
「
「伊達ちゃ~んおあよぉ……ねみゅい……」
「それでもちゃんと早起き出来てるのは偉い偉い」
「あうーもっと褒めて~」
「はいはい。玲奈はいい子いい子」
「雑ぅ!」
するとタイミングを計ったかのように伊達が入ってきた。
彼も動きやすそうな黒いジャージの上下を着ている。
そしてカウンターの中に入るとお湯を沸かし始めた。
そのついでにレイナを構っているが、どうも配信の彼女のとは別人のようだ。
伊達も柔和な表情で、まるで妹の様にレイナを扱う。
ちなみにこれは配信が無い日の彼女のルーチンで、伊達が作ったプライベートジムで見栄えのいい身体を作るためにトレーニングをしている。
その前にこのリビングでコーヒーを飲むのは、カフェインを先に入れる事で、筋肉を活性化させると共に、トレーニング効率をあげる為。
なので雑談している風だが、地味に意味がある。
そんな二人の様子は配信と違い、どこか兄妹の様な気安さが滲む。
これに関しては当然と言うか、言葉は悪いが二人とも露出する際のキャラ付けは当然している。
そもそも桜坂レイナは芸名で、本名は
桜絡みのワード選択は彼女の淡いピンクブロンドの髪色に由来する。
だが本名に関してはDF社CEOであるリョーコと同じファミリーネームだ。
結論から言えば、リョーコとレイナは従妹関係なのだ。
と言ってもリョーコは藤枝の家の本家筋であり、レイナの家は分家。
本家は鎌倉市にあるが、レイナの実家は新潟の方にあった。
そしてリョーコに依頼され、レイナをその家から連れ出したのが伊達である。
レイナは中学の頃は不登校だった。
元々顔やスタイルは良かったが、本人の性格は何というか積極性と協調性に欠ける内気なタイプで、その容姿から男子からの告白は毎日の様に来るが、本人はビクビクと卑屈に断るしかできない。
それでその男子を好きだった女子が逆恨みでレイナに攻撃的になり、やがてクラス単位でのいじめに発展してる。
問題はレイナの両親が絵にかいた様な毒親だという事。
金に汚く自分本位。
子供は所有物としか思っておらず、反抗でもしたなら罵声を浴びせるか殴る。
イジメの事で親に相談できないレイナが、身を守るために選んだのが引きこもる事だった。
最初こそ高圧的に部屋から出そうとしたが、中学の時点で170の身長を持ち、体格に恵まれていたレイナが、我慢の限界が来た。
シンプルにキレたのだ。
結果、あれだけ恐怖の存在だった父も母も、レイナの剣幕に見るからに怯え「なんでこんなのに怖がってたんだろう?」と彼女の目が覚めた。
とは言え未成年であり、親に経済的な庇護を受けねば暮らせない事も知っていた彼女は、不登校を貫き、部屋に引きこもりを継続。
それまでとは違い、ドアを蹴られる事も無かったが、そうだとて鬱屈した気分には変わらない。
リョーコがその事を知ったのは偶然だ。
レイナの母親がリョーコの母親の妹。
つまりリョーコから見て叔母が事故で死んだ。
その際にレイナの未成年後見人を決めなければならない。
遺産相続絡みで色々と本家から調査が入った際にこの事が露呈するのは当然の帰結だろう。
けれどガメツイ夫は妻の葬儀もそこそこに、やってきた藤枝の顧問弁護士に向かってレイナの親権を立てに法外な金を要求。藤枝の血が入ったガキを養育するんだ、当たり前だよな? などという謎理論で。
しかし死んだレイナの母親は死亡保険金で相殺できない額の借金を本家にしており、土地家屋などを相続するなら当然借金もまた相続する事になる。
法律とはそういう物だ。プラスの部分だけを相続するなんて都合のいい事は出来ない。
それで発狂した夫は、レイナを人質に立てこもった。
酒乱を発揮して理性が働いていない。
彼はレイナの部屋に立てこもり、包丁を振り回していた。
藤枝家は古い時代からの名家で、現在も家長は女性で、次の家長を指名するスタイルで成り立っている家だ。
江戸時代初期には将軍にも拝謁できる地位を持つ武家の出で、幕末の動乱を潜り抜け、土地を主体として大きな財産を築いている。
それを知る夫は、家の不名誉を嫌うだろうと見越して、ごね得を狙ったのだ。
レイナは両親共に何の感情も持っていない。
育てられた実感もあまりない。
物心ついてから、家は地獄みたいな場所だと思っていた。
だから父と言い張る不審者に後ろから抱き着かれている事に吐き気しか覚えない。
あーはやく終わんないかな? レイナの心境はソレだった。
実際、現当主はこの騒ぎが表に出るのを嫌ってはいる。
けれどそれはバカに屈する事とイコールじゃない。
その時に夫のスマホが鳴った。
画面には藤枝家の現当主、藤枝涼子の名前。
夫は舌舐めずりしながらスピーカーで出た。
あえてレイナにも聞かせることで立場を分からせる算段なのだろう。
愚か者の浅知恵に過ぎないにしても、それに気が付かないから愚かなのだろうが。
「今すぐその子を放しなさい。1分だけ待つわ」
それだけ言ってリョーコは黙る。
夫は何か喚いたが、一切反応はしない。
ただ通話中のカウントだけが進み、切れていない事だけは間違いないとわかる。
そして60秒が経過した。
「……伊達。おねがい」
レイナが彼の名前を初めて聞いたのがこの時が初めてだ。
次の瞬間、瞳の色が緑色の黒髪の男性に抱かれていた。
いわゆるお姫様抱っこ状態だ。
とは言えそんな艶っぽい空気になる事は無く、さっきまでレイナの部屋にいた筈が、リビングに移動していた。
歩いて移動した記憶はない。
ドアを開閉した記憶もない。
せいぜい何度か瞬きしただけ。
レイナはドライアイの気があるので、割と何度も瞬く。
なのに一瞬で10メートル程移動しており、その間に二枚は壁を挟んでいる。
意味が分からなかったが、伊達はそっとソファーにレイナを下ろすと、溶ける様に消えた。どうやら自分は救出されたらしい。
そして次の瞬間、見えないがレイナの部屋の中で父親を名乗る不審者の悲鳴が聞こえ、すぐに静かになった。
と言っても伊達が戻ってくる事無く、藤枝の顧問弁護士を名乗る30絡みの女性がレイナの引っ越しの手配と転居手続きが終わるまで傍にいた。
その後レイナは父を名乗る不審者の姿は見たことがない。
その後、あれよあれよといううちに、レイナは東京に住所が移っており、家はリョーコが用意した代々木上原にある藤枝家が出資して建築されたタワマンの一室に。
藤枝家はグループ企業を持っているのだが、その傘下に大手不動産ディベロッパーがあり、全国展開するマンションシリーズがある。
代々木上原のシャトー代々木上原は、そのフラッグシップとなるべく、都の再開発事業に組み込まれ、虎ノ門ヒルズを越える、地上300メートルの高さを誇り、レジデンス部分は60階層まである、東京で一番の高層タワマンを含む複合施設として完成した。総工費は200億円を越え、その70%を藤枝グループが出資している。
ここにレイナの部屋を用意する辺り、リョーコは相当にレイナを厚遇しているのが容易に知れる。
「レイナ、キミね、ダンジョンワーカーになりなさいな」
レイナにとって自分を救ってくれたらしい相手。
自分の親戚らしい女性。
けれど若くして藤枝グループを束ねる本家当主であるリョーコ。
そう身構えていたら、いざ対面してみると、自分よりも小柄な……というよりも女児にしか見えない童顔の女性が自分を煽る様な微笑みを浮かべて待ち構えていた。
そして何の脈絡もなく、唐突にそんな事を言う。
レイナに与えられたのは59階にある部屋だが、最上階のペントハウスに住んでいるのがリョーコだ。
これで20歳以上も年上の夫を持ち、一児の母だと言うのだから驚きだ。もっとも、伊達が配信でこの事をバラすまでレイナは知らなかったが。
しかしその顔を見てレイナの頭に浮かんだのは――――メスガキだった。
それくらい彼女のイメージは、元々レイナが抱いていた物とはギャップがあり過ぎた。
リョーコ曰く、今まで毒親にどう育てられたかなんてどうでもいい。
人生なんて面白くなきゃ生きる意味はない。
キミは新しい人生を選びなおすチャンスが手に入った。
じゃあ先の事だけ考えなよ。過去を振り返るなんて無駄だし。
藤枝涼子という女は、天才で、合理的で、計算高いが、同時に浪漫を愛し、そして酷く享楽的な女だった。
それこそポジティブという言葉を擬人化した様な。
それでいて日本どころか世界的にも影響力を持つ資産家らしい冷徹さも持ち合わせている。
だからこの時、リョーコがネガティブに迷ったなら、その時はあっさりと手放しただろう。
しかしレイナはリョーコの手を取った。
決め手となったのは、ワーカーになる事で、それもソロを貫く事で、キミがどれだけネガティブになろうと、健康的に引き籠れるじゃない、というあんまりな口説き文句だった。
でもそれは、レイナに一筋の光明を与えた。天啓と言ってもいい。
リョーコは基本的に他人を否定しない。
そこにあるのは興味を持つ相手か否か。
興味がないなら空気の様に見えなくなる。
だから極論、レイナが引きこもっていようがどうでもよく、でもせめて引き籠るなら金を稼げて世の中に言い訳の立つやり方をすれば合理的だよね?
そう言うロジックだ。
果たして藤枝玲奈は桜坂レイナとなった。
と言ってもだ。
ダンジョンという異界は、油断すれば簡単に死ぬ場所だ。
ダンジョンとはいくつかの恩恵を人間にもたらす。
マナと呼ばれる魔力が漂うダンジョンで経験を積めば、まるでゲームの様に強くなる。
どういう仕組みかと言えば、戦う事で肉体が活性化し、その状態で敵を倒して相手のマナを体内に吸収すると、肉体そのものが再構築される。
これは濃すぎるマナは人間にとっては毒物の様な物でもあり、長く摂取するとよくない。
だが肉体はそれを守ろうとする本能が働き、マナと言う未知のエネルギーを燃料に、無理やり最適化するのだ。その副産物が肉体の強化である。
これを例えるなら、外界から閉ざされ、過酷な環境に取り残されたガラパゴス諸島の生物が、本来海水を含んだ植物を摂取出来ないのを、長い年月をかけてどうにか乗り越えた結果、ガラパゴス独特の生態系が完成したのに似ている。
要はマナの力でこの長い期間かかるはずの進化を無理やり促すような物だ。
その結果、老化速度はゆっくりになりながら、代謝能力は人の枠を越えていく。
当然細胞の活動も強度も活性化していく。
驚異的なアンチエイジング効果があるのだ。
加えて、戦闘能力が人外のそれになる。
熟練のダンジョンワーカーは、軒並み軍隊を相手取っても死なない程の力がある。
だからこそダンジョン省や日本ダンジョン協会がライセンス制度を取り、彼らを管理しているのは、自分の意思で動く事が出来る危険な人型兵器に首輪をハメるためとも言える。
その為に法整備がされ、表向きは危険でなりての少ないワーカーに税制や福利厚生で恩恵を与える体を取っているのだ。
これは2030年代以降に危険水域まで達した世界的な少子化問題への対策とも言える。
つまりは出生率が下がったとしても、ワーカーという新人類が存在し続ける事で、その埋め合わせをし、問題を先送りに出来る。
どういう事かと言えば、ダンジョンワーカーを各国の政府がポジティブに保護政策を打ち出しているのは、一番はダンジョンから産出される魔石が目的なのだ。
かつては化石燃料や原子力に依存していたエネルギー問題は今や、魔石に含まれる魔力をエネルギーとして取り出す技術が確立した事で、過去の遺物になり果てている。
魔石で発電すれば環境汚染もないしコストも安い。
この技術はエンジンを作るメーカーにも共有され、魔石エンジンユニットが開発され、その結果、従来の自動車などは全て、ユニットを交換する事でそのまま利用でき、燃料は規格化された魔石燃料が安定した価格で購入出来てしまう。
つまりは魔石技術は世界の経済やインフラそのものの根幹を担う事になった。
なのでワーカーを厚遇するのは当然で、彼らが国に納める税収も、一般人よりも税率を優遇したとしても、相対的にはワーカー全体が生み出す利益が圧倒的に大きいのだ。
ゆえにワーカーが長生きし、魔石を恒常的に社会に供給し、それらの売買などで税金を納め続ける限り、普通の社会はその恩恵を受け続けるというサイクルが生まれる。
結局の所、彼らの存在がある結果、三方良しの社会が必然的に生まれている訳だ。
レイナは最初、あまりに個人的な理由でワーカーになる事を決断した。
しかし家庭環境ですっかりと人間不信になってしまった彼女にとって、思うままに振舞い、その結果強くなり、配信を介する事で直接的に誰かと触れ合う恐怖を回避し、その上で承認欲求をこれでもかと満たされた訳だ。
これがレイナの動機の全てだ。
自分が笑うために努力をし、誰かに見せる時は精一杯バカになる。
そのうち彼女は自分のアイデンティティを完全に獲得した。
桜坂レイナはいつも元気で、可愛くて、悲しい顔はしない。
それを見て誰かが元気になってくれる。
自分を見て生きようと言ってくれた人もいる。
だからアタシはここにいて良いんだ。
その傍らにはいつも伊達がいる。
彼もまた社会にアジャストできない男だった。
藤枝涼子と同様に、彼も突き抜けた才能を天から与えられた異端児だ。
幼い頃から興味を持った事は何でもできてしまう。
それが当たり前だと思っていた彼だが、彼の両親はそれを褒めてくれるどころか恐怖した。
ここから彼の歯車は狂いだす。
何をやっても出来てしまう事は、誰かを悦ばせる事とイコールではない。
それを知ってしまった彼は、社会に紛れる事を早い段階で諦めてしまった。
それからの彼はまるでロボットみたいに心を無くした。
必要な事を必要なだけしかやらない。
そして親がもしかすると喜んでくれるかもしれないという淡い期待を心のどこかに残したまま、彼は東大に入った。
リョーコと同じく、ほぼ受験勉強をせぬままに理Ⅲで合格。
そこで彼は彼女に出会った。
進振りで選んだ学部は工学部。
親と同居しながら親と顔を合わせなくて済む手段として、彼はPCを使って遊ぶことを覚えた。
その延長上という事で、特に考える事もなく工学部に進み、量子力学を専攻。
あるゼミに入って、量子コンピューターの研究に携わった。
ここでリョーコが絡んできて、キミってなんで面白い才能を持ってるのに使わないの? そう心底不思議そうに尋ねられた。
彼は自分の心を見透かしてしまう彼女に恐怖を覚え、出来るだけ彼女に合わない様に逃げたのだが、リョーコは興味を持つと執着する厄介な性格なので、逆に粘着される事になる。
その結果、リョーコは自分に対し、なんのバイアスを掛けずに話しかけてる事が分かった。
それは彼にとってある種の赦しに近い感覚だった。
はたから見ればロリ成分が強くとも美人であるが、他人の心を暴く様な言動をするリョーコと、長身でイケメンなのに人の目を見れず、いつも小動物の様に猫背を貫く陰キャ。
そんな二人が意気投合している姿から、二人が恋人関係なのだと邪推はされたが、実際は伊達がリョーコに母親に似た感情を抱いていただけだ。
そして彼女といつも一緒にいたのは、母鳥についてあるくヒヨコみたいなモノだ。
周囲でそれを理解していたのは、唯一教授だけだった。
彼は勿論、リョーコの後の夫である。
リョーコは無条件で伊達を肯定し続けた。
それにサトリ妖怪の様に他人の本質を見抜いてしまう彼女から、彼自身が気が付いていない才能を示唆され、そこを開花させてもいった。
結局、二人が知り合って1年ほどで、伊達は現在の状態に近い、ポジティブな完璧超人へとクラスチェンジしていた。
ただし彼は猟犬に似た性質を持ち、自分が心を許した相手以外には塩対応という厄介な側面を持つ。
そこは長年陰キャを続けてきた結果かもしれない。
なんにせよ、方向性も環境も全然違うが、レイナも伊達も、リョーコと言う存在に救われた同志なのだ。
そんなリョーコが手を差し伸べた相手であるレイナだからこそ、彼が彼女に心を砕くのは当然な事なのかもしれない。
とは言えだ。
最初こそリョーコが引き合わせた二人だが、今では互いに自我を持って関係を構築している。
あまつさえ飼い犬の手を噛むじゃないが、二人そろってリョーコを揶揄うまで成長した。
そしてリョーコとて、重責の強い立場にいて、DF社こそが唯一気の抜ける場所で、彼女にとっても伊達とレイナの存在は、ある種自分が自分らしくいられる為の制御装置の様に思っている。
それぞれの思惑は別だとしても、結果的に三人は掛け替えのない関係なのだろう。
「そんじゃレイナ、やろっか」
「うんっ。ね、ね、終わったらさ、どっかで朝ごはん食べよう?」
「うーん、編集したいんだけどなあ……」
「お願い。ね? アタシも手伝うから。ねっ?」
「はぁ……全く、どんどんあざとい手管を覚えやがって。んじゃホントに手伝えよ。ちゃんとするならそうだな、鎌倉にすごい美味い朝だけしか食べられないソーセージを出す店がある。そこに連れてってやるよ」
「やったっ。じゃ頑張るっ!」
そうしてレイナはいつものトレーニングメニューをこなしながら、自分に視線を向ける男に無言のアピールを見せるのであった。
マシントレーニングをする際に、筋肉の様子をチェックする――――というエクスキューズのもと、露出度の高いウェアを彼女は纏う。
(えへへっ、見てる見てる。アタシはアンタの為にもっと綺麗になるからねっ)
彼女のその思いは届くのだろうか?
なんにせよレイナが配信にかける強い思いの一端は、この不思議な男にも向けられているのは間違いない様だ。
そしてそんな彼女に伊達が向ける視線はとても暖かい。
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