第38話 再会3


 チヒロはテイムしたモンスターに腹いっぱい食わせていた。

「よしよしいい子だったね」

 ライはそれを見て微笑んでいる。

「前から好きでした付き合ってください!」

 いきなりなんだと思ったらテッタがイチゴにアタックしていた。

「ごめんなさい」

「うおぉぉぉおぉぉぉ!」

 そして、玉砕していた。

 カウンターで見ていた俺たちは大笑いしていた。

「その手があったか」

「その手も何もないだろ?」

 レイナとグラスを傾ける。

 何年も一緒だったからみんな仲間だと思っている。

 こんな世界に来ても31人揃ってることに感謝する。

 

 ハルナとコウヘイは今まで喋らなかった分楽しく喋ってるみたいだ。


 カオルが近づいてきた。

「ちょっといい?死にそうになったことは?」

「王城を追い出されてから毎日死にそうだったよ」

「そうよね、なんでそんなに平気なの?」

「約束したからな!死なないってさ、だから死ねないと思った。それからかな?俺は簡単に死んじゃいけないって!」

「らしいわね、私も死にかけたわ」

「聞いたよ、魔王軍との戦いでだろ?」

「その時思ったの、こんなところで死ぬんだなって」

「こんなところで死ぬんじゃねぇよ!いきて日本に帰るために死なねぇって覚悟が必要なんだ!現にいきてるじゃねーか!」

「うふふ、そうね!こんなとこで死んじゃだめよね」

「あぁ!命の軽いこの世界で死んでたまるか!何がなんでも生きてやるし生きてもらう!」

「ほんといい男になったわね」

「がルル」

「もう、ちょっとくらいいいじゃない」

 カオルはグラス片手にカウンターに腰掛ける。

「全員一度は死ぬ思いをしたと思うわ」

「だろうな」

「一番多かったのがあなたね」

「たぶんな」

「うふふ、そんなにはっきり言うんだね」

 だってそうに決まってるだろ?

「本当のことだからな」

「なーに黄昏てんだよ!」

 ヨシキが来た。レイナと一緒で一番長く付き合ってるやつだ。

「俺らの旅はまだ終わってねーぞ?帰り着くまでが異世界だからな!」

「あはは!そうだな!」

「そう言えば一番遅い誕生日の奴は誰だ?」

「俺だ!すまんな!」

 ヨシタカが入ってくる。

「んじゃ、ヨシタカの誕生日が帰る日だな!」

 あと半年先らしい。


「さっさと帰りたいぜ!」

「ほんとだよな!」

 でも、帰ってからパーティーした時にヨシタカだけ飲めないのは嫌だからな!

「半年なんてあっという間だ」

「あははは、そうだな」


「「「ええーーーーー!!」」」

 女グループでなにかあったらしい。

「ドライヤーってミイナが売ってたの?」

「あんな高いのなんで?」

「それは企業努力があったからよ」

 ドライヤーの話か。

「みんなにはあげるわよ」

「やった!ウチなんて6人で回してたんだからね!」

 そりゃたいへんだ。

 でもアレで大商人になったんだから凄いよな。

「今はこれね」

「リップ?口紅?」

「一応口紅かな?艶は保証するわよ」

「色は?」

 なぜか販売口調になってるぞ?


 ハジメとタクトとカズヤがしんみり飲んでいる。

「そうなんだよ!こき使いすぎなんだよ!」

「わかる!おれらもそうだ!」

 違ったらしい。


 ミズキは女グループに入っているが、ケンスケ、マサシ、ジュン、セイは食い気に走ってるな。

「ドラゴンステーキおかわり」

 もう切らしてしまって、

「チフユ!ドラゴンステーキ食べたい!」

「はいよ!」

 料理人に渡して調理してもらう。

「食えなくなるまで食えよ!まだあるからな」

「おう!こんなうめぇ肉はチフユがいないと食えねぇからな」

 

 いいなぁ!こんなに笑ったのはいつぶりだろうか!みんなそれぞれ頑張ってきたんだもんな。


 みんなであと半年頑張るぞ!

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