第37話 再会2


 結局人間は弱い生き物である。

 どんな生物よりも生き汚く死ぬのは人間だけだ。

 俺はどんな人間になりたいんだろう。

 人を助けられる人間?人より強い人間?

 仲間を多く持った人間?


 違うな。


 どれを手に入れても弱いままの俺だ。


「チフユはそのままでいいと思うよ?」

 レイナが言ってくれた。

「あぁ。僕もそう思う」

「僕も!錬金術一緒に頑張ろうよ」

「カズヤはあたしのために錬金がんばってよね」

「えー」

 そうか、このままの俺でいいんだな。

 何も変わらないけど変わったところもたくさんある。

 だから成長し続ける俺が一番大事なんだ。


「おう!俺は俺だ!これからもな」


 魔王国へと馬車を走らせる。


 みんな元気にしてるかな?


 魔王国からの門を潜る、いつもの宿屋に泊まると、ミイナが早速みんなを集めるために動き出した。


 いつものいい雰囲気の店でみんなを待つ。

最初に入ってきたのは元気がの取り柄の薬師のサトミ達だ!

「よぉ!久しぶりだなぁ!」

「おう!げんきだったかこのやろー!」

「僕らも強くなったよ」

 ハジメとタクトも元気そうだ。


 続けて入ってきたのは女6人のグループだ。

 イチゴが腕を怪我しているみたいなのでフルリカバリーをかけると一瞬で痛みが引いたみたいだ。

「ありがとう」

「どういたしまして」

 ハルナは相変わらず端っこに座り、それを囲むように6人座っている。

「レイミとカンナは相変わらずか?」

「変わんないよー!」

「いつもと一緒」

 そうか、

「ヨシミとカオルは?」

「私達も変わんないわね?」

「そっちはだいぶ変わったみたいだけど?」

「色々あったさ!ね!」

「そうそう!」

 話が盛り上がりそうになった頃、次の来客が、

「いつも急だよ」

 テイマーのチヒロだ。

「しょうがないだろ?今帰ってきたんだから?」

「ほらな?」

 ライが、チヒロに言う。

「この子達お腹空いてるからね!いっぱい食べさせてよ?」

 また大勢のモンスターだな。

「わかった、ドラゴン肉も出すよ」

「やったぁ!」

 シンジ、ケンタ、テッタは女6人の方に行って話をしている。年頃だからしょーがない。コウヘイだけはまた、端っこに座る。

 

 次に入ってきたのはミズキ、ジュン、セイ、マサシ、ケンスケの五人パーティー、今帰ってきたのか汚れていたのでクリーンをかけてやると、

「超さっぱりした」

「おお!綺麗になったぜ!」

「お前らが帰ってきたって聞いたからな」

「な!そのまま来ちゃったぜ」

「また、イケメン度が上がったか?」

「あははは、5人とも風呂くらい入ってくればいいのに」

 そんな話をしていると“カランカラン”と次が来たのがわかる。


「元気だったか?」

「まあね。また私達が最後みたいね!」

 ミコトが言うと、

「まぁ。さっきまでシャワー浴びてたしね」

 とサクラが返す。

「よお、チフユもヨシキも元気そうだな!」

 ヨシタカとタクヤとグータッチをする。

「そっちもな!」

「これでも死にかけたんだぜ?うちは聖女さまがいるからいいけどよ!」

「マジか!死ななくて本当よかったよ」

「あの時泣いてたもんねー、死にたくないよーって」

 カズミが茶化すが、

「やめなさい」

 リサがそれを止める。

 

 これでみんな集まった。

「俺から一言だけ、みんな生きててよかった」

 全員静かになる。

 ヨシキも一言。

「俺たちはもうすぐ帰るんだから悔いを残さないようにな!」

「「「「おう!!」」」」

「んじゃ、二十歳になったやつもいるかもだけどノンアルコールで乾杯だ!」

「「「「「カンパーイ」」」」」

 みんなそれぞれ戻ったら違う道をいくんだから、

「コウヘイ!このままでいいのか?」

「あ、は、ハルナ!あの時はすいませんでした」

「いいわよ!私も倍返ししたしね!」

「あははは」

「にひひひ」

 仲直りできて本当よかった。


「チヒロ?レイナとはどこまでいったんだ?」

「どこまでもいってないっつーの!」

「でも、隣はわたし」

「ヒュー!俺も帰ったら彼女欲しいぜ!」

 ヨシタカとマサシが叫んでいる。

「あははは、馬鹿が二人いる!」

「うっせーチヒロにはライがいるだろ?」

「な、なに言ってんのよ!」

 顔を真っ赤にさせて怒るお子ちゃまチヒロ。

「あはは。それよりこいつらはどうなるんだ?」

 ライが心配してるのはテイムしたモンスターだ。

「さすがに日本には連れてけないぞ?解剖か標本にされるのがオチだなぁ」

「やっぱりそうか」

 可哀想だけど戻したほうがいいよな。

「うわー!しょうがないねぇ!」

「寂しいな」

「しょうがない!これは本当に」

 チヒロも覚悟はしていたようだ。


 俺たちも別れの時が来るんだよな。

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