第32話 塩漬け依頼
とにかく塩漬け依頼が多いなぁ。俺たちだけでやるのもいいが、他の連中はなにしてるんだ?常駐依頼にボアファングがありその報酬が高いな。
「ボアファングの報酬を下げれないのか?」
「ボアファングは数が多くて捌けれないんですよ、だから依頼が溜まってしまって」
「そうか」
「キングブルは?」
「発見されておりません」
誰かが隠してるな?ならキングブルを狩るだけだ。
俺たちはファングブルを狩りながらキングブルを探すとすぐに見つけた。
「いるじゃねーか!」
「こんな簡単に見つかるとはな」
一瞬で片付けてドロップ品を拾う、牙と毛皮と肉だ。一度ギルドに戻りキングブル討伐を報告すると、男どもに囲まれた。
「余計な真似しやがって!」
「あれでここはよかったんだよ!」
「亀龍が平原を荒野に変えても、キラービーのために薬草採取ができなくてもか?」
「そ、それはおれらのしったこっちゃねえよ!」
「なら俺も知らない、俺はキングブルがいたから討伐しただけだ」
「ふっざけゴフッ」
「ふざけてるのはどっちだ?」
「やろうってのか?この人数だぞ?」
レイナとヨシキも戦闘態勢だ。
「バッカモーン!!冒険者たるもの討伐してなんぼだろ!お前たちはランク降格だ」
「そ、そんな!」
「ギルド内での私闘は禁止されている。もし破れば冒険者資格の剥奪だ!」
「じゃあどうしろって!」
「依頼ならたんまりあるだろう!それができないようなら冒険者なんか辞めちまえ!」
ギルマスはたゆんとした腹で威勢のいいことを言う。ちゃんとしたギルマスだな。
ファングブルは値がさがり結局は自分の欠は自分で拭くことなる、塩漬け依頼はでかい案件だから、低レベルのランクには太刀打ちできない。
「おや、豚臭かったのが無くなったわね」
「エルルか、知ってたのか?」
「知ってるも何も見に行けばわかったでしょ?」
女の人がギルド長に話しかけている。
「ならさっさと倒しておけばいいじゃないか!」
「なんで私が?ランクもあげてくれないのにかい?」
「それは規定があると言っておる。Sランクなら言わずともわかろう」
「はっ!そう言っていつも逃げてるじゃないか」
「な、なにを!こっちがどれだけ気を使ってるか!」
「ふん!そんなの知ったこっちゃないね」
「こっちこそしるか」
「えーとこれを、はい、じゃあいってきます」
ソローと通ろうとしたら剣が伸びてくる。
「待ちなよ。あんただろ?キングブルやったのは」
「はい。まぁ」
「どう落とし前つけるきだい」
「は?そこにモンスターがいたから狩っただけですけど?」
「体でわからせてッ」
「レイナ、止めろ」
「わかった」
レイナがエルルさんの首からナイフを離す。
「身体になんですか?」
「チッ!もういい、行け」
「そうですか」
レイナのおかげで通してもらえた。
「チッなんだいあいつら!」
「お前でも手を出さないやつらじゃろ」
「あんなやつらすぐにでも締め出してやるよ」
「出来ればSランクにでもなんでもしてやるさ」
「言ったね!覚えときな」
女は外に出ていく。
「はぁ、売り言葉に買い言葉じゃったのう」
「どーするんですか!これじゃチフユさん達が」
「あいつらなら心配ないじゃろうが、関係が悪化しないことを願うしかないのぅ」
「ぜったい悪化するからちゃんと謝って下さい」
「そうする」
たゆんとした腹を叩いてギルド長はため息をついた。
「んじゃこれで討伐完了っと」
「あぁ、レベル酔いが」
「さっさとレベルが上がればいいね」
「すいません」
ヨシキとカズヤが喋っていると、向こうから大斧を持った今朝の女の人がやってきた。
「お前らに邪魔されるわけにはいかないんでね!邪魔くさいのは無しだ!一番強いやつ出てこい!」
「え?俺?嫌だなぁ女の人の相手は」
「私が行く」
「えぇ!俺が行くよ」
「私でも大丈夫」
「わかった、お願いするよ」
「出てきたのは小娘かい?そいつが一番強いんじゃないのかい?」
「私で十分」
「ケッ!生意気な!死んで後悔させてやる」
先に仕掛けたのはエルル。大斧を軽々と回して攻撃するがレイナには当たりもしない!
「このチョコマカと!」
「大振り、後遅い」
「なんだって!」
スピードを上げるエルルは途中で動かなく、動けなくなった。
「遅いからこの糸で縛らせてもらった」
「こっの!ちゃんと腕試しさせろ!」
「はぁ、レイナ解いて」
「わかった」
「最初から俺が出てれば良かったんだなぁ」
「やっと本丸のお出ましか」
「いいから早くかかってきなよ」
「死ねぇぇ!」
“ガッ”
片手で受け止めるとバキバキと大斧を握り砕く。
「あ、あ」
「これでわかったろ?相手にならないって」
「あ、あぁ」
「そんじゃ、この斧は使い物にならないから作り直さなきゃだな」
工具を取り出して斧を作り直すと、
「ほら、お前の獲物だ、ちゃんとメンテしろよ?」
「あ、はい」
そこには新品の大斧があった。性能も前のと比べ物にならない。
「私の負けだわ」
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