第30話 帝都


 小さな勇者と別れてミイナのとこに戻る。

「あはははは!大商人になれたわよ!」

「マジかよ」

「凄えな」

 金貨一億枚の利益だぞ?しかも魔王国領でだから当然魔王金貨だろう。

「笑いが止まらないわ!私はついにやり遂げた」

「ん、じゃあ、僕たちは作らなくても良い?」

「そんなわけないじゃ無い!これからも作ってもらいますとも」

「「えぇー」」

「ちゃんと賃金は払ってるでしょ?」

 まぁ、作るけどさ。

「まぁ大商人になったから今後はゆっくりやってくわよ」

「そりゃ助かる」

 カズヤもやりたい事があるんだろうな。


「んじゃ出発するわよ」

「いいぞー!」

 馬車を改造していた甲斐があってけつが痛いのが解消された。あとはクッションを買ったので快適だ。

「いいね!揺れも少ないし」

 道沿いに北に向かう。

 国境に近づくと長い壁で仕切られている。

「帝都には何のようだ?」

「冒険者兼商いをしに」

「確認した通っていいぞ!」

 ちゃんとした国境なんて初めてだ。

「さて、帝都まで行くわよー!」

 ガルタナルダ帝国、治安はいいとは言えないらしいが帝都まで行けばいいだろう。


 ようやく帝都に着いたのは一か月後だった。その間には5回も盗賊に襲われて報奨金を受け取ったのであった。

「やっと着いたわね」

「長かったですね」

「遠い」

「馬たちも早く休ませてやりたいぜ」

「さっそく宿屋だな」

 宿屋に着くと、厩番に銀貨を渡してよくしてやってくれと言っておく。

 三毛猫の毛繕い亭に今夜から一ヶ月ほど泊まることにする。

 俺とカズヤはドライヤー作りだ。


 ある程度作ってあったので今日のノルマを作ってミイナに渡す。

「飯食いに行こうぜ!」

「ここの食堂でいいでしょ?」

「だな」

 食堂で飯を食べる。久しぶりの堅パンに美味しいと感じてしまう。

「今度から別のとこにしましょう」

「「「賛成」」」

「え?美味いのに?」

「貴方だけよ!」

 何だよ、堅パンだって味があるんだからな!ここの堅パンは少し甘い。


「ところで一億集めるのにドライヤーいくらで販売したんだ?」

「え!それは9万ゴールド」

「たっか!それでも買う奴が居るのかよ」

「それだけシャンプー、コンディショナー、ドライヤーは女には必要なのよ!」

「しかしまたぼったくったな!」

「それだけ労力使うでしょ?」

「まぁ、安く売られちゃ俺たちが困るだけだしな」

「そうですね」

「帝都でも売れるか?」

「売れるわよ」

「明日は一日ゆっくりしよう」

「「「「賛成」」」」

「僕図書館にいってきます」

「俺は「私と買い物」…らしいですね」

「んじゃ僕はゆっくりしようかな」

「私はお金の計算しなきゃ」

 とりあえずみんなやる事が決まったな。


 外に出てカズヤと別れると、レイナが腕を組んでくるのでそのまま歩く。

「あそこ!」

「カフェか。いいね」

 カフェに入って久しぶりに甘いものが食べたくなってパフェを頼むと、

「あーん」

「ほら」

「うん美味しい」

 可愛い忍者ですこと。

 その後も腕を組んで行動する。

 服屋に行ってまた着せ替え人形のようにされ、服を買わされる。俺の服なんてそんなに要らないのに。

 レイナにも買ってやるって言ったら真剣に選んで可愛い系の服を選んでいた。そのまま着てまたデートを続ける。パン屋を見つけたので堅パンを買い占める。

「理解できない」

「あははは、これはしょうがないよ」

 大通りを歩いて色んなショップがあり、シャンプーなんかも売っているが買う気になれないな。

 自分で作ってるのがあるからな。


 夕暮れ時に食堂で晩飯を一緒に食べる。

「今日はよく笑うね」

「そう?いつもと一緒」

「あははは、いつもと一緒か」

「おかしい?」

「いつもはもっと無口だよ、俺と居るから喋ってくれてるんだと思ってた」

「それはあるけど、いつもはまだ横に立てない私がいるから」

「そう?そんなこと感じた事ないな」

「そうなの」

「そうか、じゃあ二十歳になったら横に立てるかな?」

「うん!それは絶対横に私が居るから」

「それは心強いな」

 堅パンを齧る。うん、美味い!

「私は誓う!千冬から離れないから」

「ゴホッゴホッ」

「俺から離れない?」

「うん。なにがあっても」

「あはは、うんわかった」

「食べよ」

「うん」

 レイナが何を誓ってくれたのか俺にはわからないけど誰かと一緒に居るのって心が温かくなる。


 翌朝からは冒険者ギルドに行きミイナは商人ギルドにいった。

 ギルドに行くと依頼が多い。こんなにモンスターの被害があるのに冒険者は何をしているんだ?

「冒険者のチフユと言います。何故あんなに大量の依頼があるのですか?」

「は、はい、冒険者の方も命懸けなので無理を言えないと言うか」

「わかりました。一番の依頼は?」

「はい、あ、亀龍の退治ですね。もしかしたら大亀龍がいるかもしれません」

「わかりました、それを受けます」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る