第27話 船


「さぁ。いくよ!」

「はーい!」

「「ふぁーい」」

 ミイナは元気だが俺とカズヤは寝不足だ。

 豊穣祭あとに露天を出したもんだから売れる売れるで在庫がカラになった。シャンプーとコンディショナーは薄利多売で売ってるから量がいるので俺とカズヤの両方で作って在庫にしたらその隙に売りにいきやがって昨日作った分がほとんど無くなってたのは悲しかった。それで夜中まで作ってたわけだ。

「ごめんね!今日は御者やるからさ」

「当たり前だ!こんなに作らせて!」

「でもさ、やっぱいいもの使ってもらいたいじゃん」

「まぁ、分かるけど」

 御者で居眠りするカズヤと荷車の中で本気で寝る俺。

 そろそろ見えてもいいからだと言うので外を見ていたら水上国家が見えてきた。ほんとに水上にある国らしい。

 冒険者証を、見せて中に入ると筏が道になっているのですこし揺れるがしっかりしている。宿屋に到着したのが夕方だったので夕食はその宿で取ることにした。

 タコのマリネやら焼き魚なんかも出ている。美味かった久しぶりの海の幸。

 宿屋の女将が髪が荒れると聞いたらどげんかせんといかんと未唯奈があるシャンプーとコンディショナーを全て売ってしまった。

 俺たちはまた作らなければいけないらしい。

 まぁ、配合する量を間違えなければいいだけなので他の奴らにもやらせたいけどダメと言う指示が出た。

 俺は大量に作れる練金釜を、カズヤは入れ物を大量に作り量産体制へ移行する。500づつ1000作ったところで材料が無くなり、昼間になっていたので買い物がてらギルドを見ることに。 

 海竜リヴァイアサンの討伐があったのでそれを受ける。

 もちろんミイナや和也も一緒だ。

 町外れの海に出るらしく行ってみると、

『なんじゃ、小僧ども?我になんのようじゃ?』

「喋れるんだね、エンシェントドラゴンと一緒か」

『エンシェントドラゴンと一緒にするでない、妾は海竜ぞ!』

「あー、ここじゃまだそうだから他の海に行ってくれないか?」

『なぜ妾が退かねばいかぬ!愚か者には死をくれてやろう!』

「あんまりやりたくないけど、やるしかないか」

 ブレスを吐く海竜に斬り込んでいく、俺だけだ。

 勝てぬと分かると降参してくれたようだ。

『分かった。ここから離れて暮らす』

 よかった。と思ったら撃退でも経験値が半端ないらしく、久しぶりにヨシキとレイナもレベル酔いしていた。ミイナとカズヤは失神していたがな。


 四人を連れてはいけないので、そこで休むことにした。海竜があんなに強いなんて思わなかったな。もうちょっとレベル上げ出来ればいいけどなぁ。


「は!か、海竜は?」

「お、カズヤ起きたか。海竜は撃退したぞ?」

「撃退でレベルアップ?すごいね」

 本当に強かった。エンシェントドラゴンもアレ以上だろうなぁ。

 カズヤが起きたから御者をしてもらい宿屋にいってミイナを寝かせる。

 もう元気な二人、ヨシキとレイナは久しぶりのレベルアップに嬉しそうだ。

 海の幸も食べたし、レベル上げもできた。

 最高の一日だった。


 さて次はどこに向かうかだが、ギルドにある地図を参考にこのまま東回りに北に向かうことに決めた。

 のんびりな旅。

 自由気ままに旅をするなんてあっちでは考えられないからな。

 ここから海を渡って北東にあるセールナーという街まで船で行く。

 

 大きな木製の帆船だ、これに馬車ごと載せて海を渡る。

「すげぇ」

 俺は度肝を抜かれた。

「凄い」

「わくわくするね」

「凄い大きな船」

「あっちでもなかなかないよね」

 みんなもビックリしている。

 さすが魔王金貨で100枚するわけだよ。


 汽笛がなり、ゆっくりと船は動き出す動き出すと帆が風を受けて進んでいく。

甲板に出てみると風が強いが気持ちいい、邪魔になるから中に入ろうとすると『敵襲』ときこえたのでそっちに向かうとマーマンと言う半魚人のような奴らだったので蹴散らしてやると船員にお礼を言われた。

特等席だと一番前まで連れて行ってもらいみんなではしゃいだ。

「こんな景色みれないよねー!」

「そうだねー!」

「来てよかったー!」


 思っていたよりも早く着いてしまいざんねんだが船旅はおしまいだ。

「あー。もっと乗りたかったな」

「でもこれくらいがいいよ」

「そうだね。船酔いしたらキツそうだし」

「あーね」

 セールナーの街に入ると今度は漁村とはまた違って要塞のようなところだった。船が門を潜るとようやく街並みが見えてくる。

 白を基調とした綺麗な街並みだ。

「おぉー、凄いなぁ」

「きゃー。ちょー綺麗」

「綺麗」

 船が付けられ降りていくと冒険者証を見せて中に入る。荷馬車の中も見られたけどこれと言って何もないからね。

 なかは賑わっていて、いろんな人種がいた。猫耳の獣人や土気色した土人、ドワーフやハーフリングなど、さまざまだ。

「うわぁ。なかなか壮観だねぇ」

「獣人とか本当にいたんだ」

「そうね。初めて見た」

 こんなところもあったんだな。

 そういえば魔王国も魔族だったし、色んな種族がいたよな。

「さぁ、まずは宿を探そうか」

「宿ならこっちにありますよ」

 ハーフリングの子供かな?

「いい宿かい?」

「普通の宿ですけどご飯が美味しいですよ」

 じゃぁそこに決めようかと思ってみんなの顔を見たらあっちはあっちで獣人の子に案内されそうになっている。

「チフユいくぞ」

「あ、あぁ、ごめんね」

「いいんです、またお願いします」

 ハーフリングの子に謝って獣人の子供についていく。

 宿には山猫の爪とぎ亭と書いてあった。

 宿に馬車を置いて外に出てみると大きな図書館のような建物が目印になるなと思った、図書館で少し勉強でもしたいなぁと思っていたらカズヤが、図書館に行きたがったのでみんなで行くことになった。

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