第25話 レベル酔い


「はい積んだ積んだ!」

「俺は荷物持ちじゃねーぞ?」

「アイテムボックスあるでしょ?」

「お前もな?」

「私もいっぱい積んでるよ!さっさと積んでくんないと出発出来ないよ」

「くっそ」 

 アイテムボックスに商品を詰めると。出発だ!

 まずは魔王国の東に位置する水上国家のウェンディまで行くよー!」

「水上国家!面白そう!」

「私も一回行っただけだけどね」

「ふぅ、旅らしくなってきたな!」

道中の魔物は殆どがレイナが倒している。クナイで一撃だ。ホロの屋根の上がお気に入りらしい

「パーティー組んでるからレベル酔いが」

「しっかりする!」

「はい!」

 パーティー組んでると経験値が分配されるので弱いカズヤなんかはレベル酔いをしやすいみたいだ。

「うわぁ、まただぁー」

「私だって我慢してるんだから気をつけてよね!」

「大丈夫か?つらかったら休ませてもいいぞ?」

「大丈夫!自分でついて来るって言ったんだもん」

「うー。僕は結構きついよー」

「泣き言言わないの!」

 ミイナは頑張って御者をしているがふらふらだ。

「いいさ。ゆっくり行こうよ!」

「そ、そう?私もうダメ」

「ほら我慢するから、どうどう」

 馬車を止めて木陰で休む。がその間もレイナやヨシキがモンスターを、狩るからレベル酔いがおさまらない。

「うー。どれだけレベル差があるのよ」

「ここら辺は強いモンスターがいるからね」

 うつらうつらとしている二人には悪いがさっさと慣れてもらうために俺も参戦してこようかな!


「うお、立ってられないよ」

「私もうダメだわ」

 二人とも横になっているがすぐに治るだろ?たぶん。

 粗方片付けて戻って来るとまだレベル酔いから冷めていない二人は寝かせといて昼メシの準備をする。

 二人を鑑定してみると、

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

今川和哉イマガワカズヤ 17歳

レベル127 職業 錬金術師

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー吉野未唯奈ヨシノミイナ 17歳

レベル124 職業 商人

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 となっている。そりゃレベル酔いするよな。まぁ、二人が起き上がらないことには動けないからここで一晩明かすのもありかもしれない。


「おいおいどんだけ弱いんだよ」

「しょうがない」

「俺たちだってレベル酔いは経験してるだろ?」

「まあそうだけどな」

「うー、情けない」

 カズヤは起きてきてご飯を食べている。

「ゔー、きついね」

「わかる」

 ミイナは横になってなったままで起き上がれない様だ。


 今日はここまでで、狩りをしとこう。

 早め慣れてもらわなくちゃね。

「まじ私ら舐めてたわ」

「うん、まさかこんなことになるなんてね」

 もうレベル30は上がっている二人が起き上がれないのにまだレベル上げのためにモンスターを狩りに行ってる3人。

 カズヤとミイナの拷問はまだ続くのであった。


「よし。まだ、ふらつくけど峠は越したぜ!」

 ミイナが先に起き上がる。

「グゥ!俺だってさっきよりはマシだからな」

 カズヤが起きると同時に二人ともまた倒れる。

「ど、どんだけ狩ってるのよ」

「む、無理なんですけど!」

 これが一日続いたおかげで二人ともレベル150を超えていた。


「次の日にまで響くとはね」

「昨日よりはマシだよ」

 二人が御者台で喋ってるなか、3人は気配探知の練習していた。

「右に二頭いる」

「当たり!流石レイナは勘がいいな!」

 飛び出て狩って来る。

「むー。わからんなぁ。どうやったらわかるんだ?」

「まずはこの三人と御者のく二人を感知してみたら?」 

「そうだな」

 二人は勘が鋭いからすぐにできると思ったんだがヨシキが手こずってるな。

「おっ!左に3匹!」

「惜しい4匹だ」

「行って来る!」

 そのまま出て狩りをしてくる。

 御者の二人にとってはいい迷惑だが昨日よりマシだから馬車を走らせている。

 止まるとどんどん狩ってくるもんだからレベル酔いが酷くなるのだ。

   

 中の二人も座ってる時間よりも狩ってくる時間のほうが長いくらいだ。

「勘弁してくれよ」

「本当にそう」

 御者の二人はふらつきながらも馬に任せて走るのであった。


「止まれ!」

「あっ!」

「ひいちゃった!」

「あ、危ねえだろうが!」

「よかった、死んでない」

「危なかったね」

「おい!金目のもの寄越せ!」

 盗賊だったなら引いてもよかったのかもしれない。

「よいしょ。で?オタクら盗賊?」

「あぁ、そうだが!だから金目のもの寄越せばここを無傷で通してやってもいいぞ?」

「ふーん、あっそ」

“ゴンガンガン”

 盗賊は伸びていた。手加減も上手くなったな。縛り上げて次の街に進む。

 結局次の街まで伸びていた盗賊は知らない間にお縄についた。

「ち、ちくしょー」

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