第23話 旅仲間
昨日降っていた雨が嘘の様に今日は晴天だ。
王国での生活も慣れた頃、ようやく防具が帰ってきた。俺がやってもいいのだけどなかなか防具は難しく、何回か試行錯誤したが、うまくいかなかった。
「よし魔王国まで行こうか!」
「「おお」」
イーグルさん達には昨日のうちに話してあるので別れはいらない、
門まで行くとイーグルさん達が待っていた。
「おい!死ぬんじゃねぇぞ!」
「お互いにね」
「いう様になったな!」
硬く握手をして別れる。
道が泥濘んでいるので歩きで魔王国に向かう。途中の村で一泊して、国境付近でまた馬車が襲われていたが、優勢のようだ。
見ていると盗賊達は捕まっていた。
「おおー、凄いねぇ」
「おぉ!お主らではないか!」
「お、お嬢様じゃん」
自分なりに自衛の手段を見つけたんだな!
「このダルボと言う男を雇ってから負けなしでな!盗賊なんかもこの通りじゃよ」
「ウヘヘ。お嬢様ありがとうございます」
「自分でできないことを人に頼るのはいいことだよ」
「妾は力がないからのう」
「それでダルボか!頑張ってくれよ!」
「おう!うへへ」
いいやつが見つかったみたいでよかった。
魔王国に向かうということで俺たちも一緒になって向かう。
「お嬢様じゃーな!」
「ミルモじゃ」
「そっか、俺はチフユでこっちがレイナとヨシキだ」
「それじゃあのチフユ」
「あぁ、ミルモもまたな」
さて、こっちにミイナの店があったはず。
「チフユ!レイナにヨシキも」
「よっす!」
「お久」
「久しぶりだね」
ミイナの店は大繁盛していた。
「店頼むわよ!」
「店長!!」
ミイナはレイナに抱きついて俺たちに話す。
「レベル上げ終わったのね」
「あらかたね」
「まだまだ」
「僕ももう少しあげたいかな?」
「あははは、でも見違えたわよチフユは」
「私のコーディネート」
「チフユは顔もいいし背も高いからな」
「俺はヨシキの方がイケメンだと思うぞ?」
「そうかそうか!」
肩を叩かれる。
「なぁ。いいのか店?」
「大丈夫っ、とっ、逃げなくちゃね」
「「店長ぉぉぉー!」」
「あはは、たまの休みくらいいいでしょ?」
ミイナはイキイキしている。
楽しく暮らせているのだろう。
古い雑貨店の様なところに入っていくと、
「カズヤ!」
「ん?あ、チフユ!ついに僕にもマジックバックが作れる様になったんだよ!」
「あはは、本当に?凄いじゃないか!」
カズヤは嬉しそうに擦り寄ってくる。
「ゴロ爺はまだだけどねー」
「うっさいわい!若者と一緒にするな!」
一緒に完成させたのか、弟子入りなんてよく考えたな。
「てっきり2年半くらいレベル上げすると思ってたよ」
「最下層の敵を倒したからな、これでレベル上げは旅しながらすることにした」
「旅!いいねぇ!旅!」
「私はついて行くわよ」
ミイナが急に言い出す。
「私だってレベル上げしたいし、それに旅商人ってのもいいでしょ?」
「じゃぁ僕も!旅商人が売るものなかったら困るからね」
「ワシはどうなるんじゃ?」
「ゴロ爺は後ちょっとじゃん!カバンが作れれば一流の錬金術師でしょ?」
「まあの、ワシは旅は好かんからのぉ」
「じゃあ、決まりで!」
「しゃあねぇな」
二人が旅仲間に加わった。
「そうと決まれば店の方に行ってこないとね」
と出ていくミイナは走って行ってしまった。
「いやぁ、苦労したよ!マジックバック作るのにあんなに掛かるなんてさ」
「難しいけどできないわけじゃないだろ?要はコツを掴めばいいだけだったろ?」
「うん!コツが掴めたらスルスルってね!」
「そのコツが難しいんじゃけど」
「爺さん作ってみてよ」
「ワシか?お、おう」
何時間かそこでゴロ爺と特訓をすると、
「こうか!できたぞ!ワシにもマジックバックが作れたぞ」
「よかったねゴロ爺!」
「おう!チフユと言ったか?ありがとうのぅ」
気付くとレイナとヨシキはいなかった。
でも、誰かに頼られるのは悪い気はしないな。
「よかったね」
泣いて喜ぶゴロ爺を見てお爺さんってこんな感じなのかなって思ってしまう。なぜ俺には母親しかいなかったんだろう。
その頃、レイナとヨシキは外に遊びに出かけた。あまりにも長くなるだろうと思って飯の買い出しだ。
「チフユと一緒じゃなくてよかったのか?」
「大丈夫、チフユは熱中すると周りが見えないから」
「おお、久しぶりの長文。普通に喋れよ」
「いや、疲れる」
本当は仲がいい二人だ。
「ここは肉だろ!」
「野菜も摂る!だからバゲットサンド」
「まぁいいけど肉多めな!」
「うるさい」
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