第18話 職業アップ


 上位互換と言う職業もある。騎士と聖騎士、剣士と魔法剣士や剣聖、である。

 これは極めれば上位に行けるらしい。

「お前たち教会にいったか?」

「まだいってないなぁ」

「もしかしたら職業変わってるかもしれないぞ?」

「えっ?なんで?」

 俺が説明すると、今すぐ行こう!となった。


 教会に着くと寄進にみんな魔王銀貨1枚を渡して祈るとやっぱり変わっている奴がいた。

 戦士から重戦士に、剣士から剣聖に、騎士から聖騎士に、拳士から拳聖に、シーフからアサシンに、5人が変わっていた。

「やった!同じ剣聖だぞ!」

「まじかよ」

「私も拳聖になってたわ」

 ハジメとハルナは大喜びだ。

 戦士から重戦士に変わったヨシタカは嬉しさを噛み締めている。

 騎士から聖騎士にかわったタクトは同じ聖騎士であるジュンに教わっていた。

 シーフからアサシンに変わったテッタはケンスケと何やら話をしている。

「俺はライのとこに入れてくれないか?」

「え?良いけどどうした?」

「同じ職業の奴がいても仕事が被るだろ?だったら他のチームに入った方がいいかなって?」

「こっちは大歓迎だけどそっちは大丈夫かよ?」

「あぁ、無理しないようにレベルを上げるだけだ」

 テッタがライのチームにはある事になった。

「よろしくな!」

「あぁ。よろしく!」


「あー良いなぁ!私もジョブ上がって欲しかったよ!」

「薬師のうえなんてないだろ?」

「大薬師とか?」

「ねぇっつーの!」

 パーティーで二人とも上がっていたサトミはご立腹だ。


 でも、教会に来て良かったな。

 俺も祈る。ノージョブと言う職業で本当に良かったと思っている。

 みんなでまた店に戻り大騒ぎだ。

 おれは錬金術師のカズヤに捕まっている。

横には当然の様にレイナがいるが。


 勇者のヨシキは女どもに捕まってるし、まぁ、勇者なんで将来有望だろうな。


 奇しくも同じ職業になった二人は自分が今後どんな役回りをするか教えてもらっている。

 そんなパーティーも終わり、みんな宿屋に帰っていく。俺たちも妖魔の宿木に帰る。


 次の日、街ブラをしているとまたあのお嬢様に会ってしまった。

「良い天気じゃのう」

「そうだね、でも着いてくる事ないんじゃない?」

「暇なんじゃもん」

 暇でついてこられても困るのだがな。

 大通りを通り裏路地に近づいた瞬間に俺たちは動いた。

「チッ!なんで強そうな奴が一緒にいるんだよ」

「悪い事は言わないがこちらに関わるな」

 ヨシキがそう言うが、

「こっちはその女に用があるんだよ」

「妾か?妾にはないぞ?」

「ふざけんなよ!あの大商会の一人娘だろ?」

「なぁ、あんたらここで山分けにしないか?」

「あいにく金には困ってないんでな」

「チクショー!」

「うっ!」

「ガッ」

「グエッ」

 ヨシキが剣でねじ伏せるとレイナが縄で縛り上げる。

「憲兵を呼んできます」

 と一人の従者が呼びに行く。

「お前大商会の娘なんだな」

「そうじゃ!クレリス商会はデカいのじゃ!」

「んじゃ簡単に街ブラなんかしたらダメだろ?」

「世間を見て回るのが大商人としての役割りなのじゃ!」

「それじゃもうちょっと人を増やしなよ?」

「主らがおるではないか?」

「今日はな」

「ウチで雇うぞ?」

「断る!」

「なんでじゃ!良い給金を出すと言っておる」

「だから断るって、俺らもしないといけないことがあるからな」

「こんなに誘っておるのに!」

「どんな誘いだろうが断るっていってんだよ」

「うぅ、ぐす」

「泣いても無駄だ、これは決まりなんだからな」

「泣いなぞおらん!」

 どうしたもんかなこのお嬢様は?

「憲兵を連れてきました!」

「こいつらが…」

 事情を説明し引き取ってもらう。

「さぁ、お嬢様も帰りな」

「う、うるさい!」

 癇癪を起こした子供の様だ。まぁ実際子供なんだけどな。

「お、お嬢様」

 従者も大変だろうな。


 その夜妖魔の宿木に従者が来て探すのを手伝ってくれと言ってきた。

 なんの手立てもないのに動き回るのは得策ではないと商会の前で張ってるとやっぱり使いが来た。後をつけると小さな建物に入っていく。

 忍者のレイナが見にいくといたらしいので中に突入して制圧する。


「お嬢様!」 

「何をやっておるのじゃ!早く縄を!」

「それよりなぜ外に出たんだ?危険だわと思わなかったのか?」

「…」

「もう良い、これでこの件はもう良いだろ?」

「もう関わるな!従者のお前もだ」

「でも、」

「俺たちは忙しい。明日には王都に帰るからな」

「な!なんでじゃ!ここにいるのではないのか?」

「俺たちはレベルを上げるために動いているんだ。昨日今日はたまたま休みにしただけだぞ」

「そうじゃったのか?妾のことはどうでも良いのじゃな」

「はぁ、はっきり言って迷惑だ」

「わ、わかったのじゃ。悪かったのじゃ」

「分かったらさっさと帰れ」

「分かった」

 言い過ぎかもしれないが俺たちには後二年しか時間がないのだから。

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