第17話 再会


 朝目が覚めると布団が重いと思ったらレイナだった。

 そっとどいて寝かせてあげる。

 昨日は騒いだから疲れたんだろう。

 王都に一週間は滞在しないといけないなら魔王国にでも行ってみようか?そんなことを考えてるとレイナが起きたみたいだ。

「おはよう」

「責任とってね」

「いや、なにもしてないでしょ?」

「同衾」

「いやいや、ここ俺の部屋だからね?」

「同衾」

「服着てるじゃん!って今脱がないで!」

「チッ」

「舌打ち!?」

 それからは話を戻して魔王国にでも行ってみないかと誘ったら行くといったのでまずは自分の部屋に帰りなさいと帰した。


 あとはヨシキに話をしないとな。

「昨日はお盛んでしたね?」

「してないっつーの!ってなんで知ってんの?」

「レイナに聞いた」

「外堀から埋めていく気か!」

「そろそろ気づいてやれよ」

「もう気づいてるけど順序があるだろ?それにまだ日本に帰ってないんだから」

「まぁ、そうだな」

「待ってる」

「うわぁ!!」

 レイナが横にいた。

「ビックリさせるなよ」

「私は忍び」

「知ってるよ」

 本当にもう。

「魔王国行くぞ」

「それも聞いた」

「なら支度しろよ!」

「「はーい」」

 本当にもう。さすがにレイナの事は気づいてるけど今じゃないだろ?日本に帰ったらすることがあるんだから。

さて、俺も支度をしよう。


 宿を出て外に出ると小走りでまた魔王国に向かう。

 これなら今日中に着くなと思っていたら、馬車が転倒していた。騎士達が守っているが多勢に無勢である。

「加勢する!」

「あ、ありがとう」

 レイナは首トンをして盗賊と思われる輩を気絶させているし、ヨシキは鞘付きのまま剣で気絶させている。

「終わった」

「こっちも終わったな」

「んじゃ、馬車を起こすか」

 俺が持ち上げて起こすと中から悲鳴が聞こえた。中に人がいたのか。

「いたた、何事じゃ!」

「あ、悪いな。人が入ってると思わなくて」

「普通思う」

「俺も同感」

「もうやっちゃったから仕方ない」

 だって倒れてたら起こすでしょ。

「この方達が危ないところを救ってくださって」

「そう言うことか、じゃあ褒美として付いてきてもよいぞ」

「いやいいです。俺たちだけの方が早いんで」

「ついてきてもいいぞ」

「断る」

「まぁ、馬車より走った方が早いからな」

 二人とも同じ意見らしいが、

「つ、ついてきてもいいぞ」

 もう涙目じゃん!

「仕方ないからついていくけど魔王国までな」

「そこにいくつもりじゃ!よかったのぉ」

 いかにもお嬢様は立ち直りの早いことで。

「ではいくのじゃ」

「「はっ!」」

 二人の護衛に御者に盗賊達と大人数での大移動だ。でも荒野に入ってるからもうすぐ魔王国だな。


 歩いて魔王国まで大変だった。縛った盗賊は暴れるし、御者も馬も怪我してた様で治してやり、そして歩くスピードで馬車が走るから遅くてしょうがない。


 まぁ無事着いたから良しとしよう。

 盗賊達は引き渡されて、懸賞金がもらえるらしい。またお嬢様からは金貨200枚がもらえた。王国金貨だがな。


「それじゃまたの」

「もう会いたくないです」

「そんなことを言うな!」

 お嬢様とも別れて街を散策する。久しぶりに来たな。

「あーーー!!!」

「なに?あぁ、誰だっけ?」

「ミイナよ!覚えなさい!」

「分かった。いや覚えた」

 商人のミイナが大声で俺たちを止めた。

「お久」

「久しぶりだね!ミイナ」

 レイナとヨシキは知ってる様だ。

「ほんとよ!レイナもヨシキもチフユも」

「ちょっ、店任せるわね」

「はーい!」

 店を従業員に任せてって店持ってるの?

「3人ともよく無事で」

「それより店持ってるの?」

「私は商人よ?店くらい作るわよ」

「そうなんだ」

 商人のジョブもあったんだな。

「まずはカズヤのとこに行くわよ」

「おお。錬金術師のカズヤな」


「あぁ!チフユ!帰ってたのか!」

「今来たところを拉致られた」

「あはは、ところでさぁ。この…」

 カズヤの質問攻めで小一時間が過ぎた。

「わかった!やってみるよ!」


「さぁ。もういいでしょ?カズヤも行くわよ」

「どこに?」

「みんなのところよ」

「あぁ。そうだね」


 雰囲気の良さそうなところが貸切で予約されそこで待つ事になった。カズヤはまだしゃべり足りないのか色々と聞いてくるので答えていると。


 続々とクラスメイトが入ってくる。

「ようチフユ!」

「ようヨシタカ!」

「お、覚えててくれたんだな」

「実はあんまり覚えてなくてごめんなさいって人が多いんだ」

「そらしょうがねーよ、チフユは一人だったんだからな」

「そう言ってくれると助かるよ」

 とみんな気さくに話しかけてくれる。

 ちゃんとクラスメイトとして扱ってくれるのは凄くいいな。

その後は飲んで食べてのどんちゃん騒ぎだ。

流石に31人もいると顔と名前が一致するのが大変だ。

 必死に覚えたよ。

「えぇー!もう中層なの!」

「うん!楽じゃないけどな」

「俺に地龍の鱗をくれよ!」

「いいよ、はい」

 鍛治士のケンタに言われてレッドドラゴンの鱗と地龍の鱗を出すヨシキ。

「よし!これで鍛治レベルが上がるぜ!」

「ずるい!薬草なんかはなかったの?」

「チフユ!なんかあったか?」

「薬草ならあるし果物もあるよ」

「よし!負けてられないわ!」

 薬師のサトミに薬草なんかを全て渡す。

 生産職は作ってみてレベルが上がるからな。戦闘でも一応上がるが、やるのとやらないのとでは段違いにレベル差が出てしまうのだ。

 錬金術師、薬師、鍛治士、魔具士、商人あたりがそうかな?

 みんなそれぞれレベルを上げてるみたいだな。

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