第16話 王都


「よし!」

「おおー、地龍も楽になってきたんじゃないか?」

「いや、まだまだだね。レベルがまだあがるからな」

「わたしもまだ」

「そうか、俺も少し体を動かしてくるよ」

「おう!」

「気をつけて」

 最下層におりていくと、ブラックドラゴンの集団相手に斬って殴って倒している。ドロップ品はもちろんアイテムボックスに入れていく。

 毎日最下層にきているが、まだレベルが上がるんだけど遅くなってきたな。

 エンシェントドラゴンに聞いたらここよりレベル上げるのに適したところはないそうだ。じゃあ、もう上限が近いかな。

 レベルが上がる感覚があった。


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神谷 千冬カミヤ チフユ 17歳

レベル 956 職業 ノージョブ

ユニーク

スキルツリー開放

鑑定 剣術LvMAX 身体強化LvMAX 気配察知 アイテムボックス 隠密

ジョブMAX

(勇者)(聖者)(賢者)(錬金術師)(鍛冶屋)

(ステータスMAX)

経験値二分の一

スキルポイント326

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 千を目標にレベル上げをしよう。

 ブラックドラゴンは最下層の影から出てくるから無限湧きって奴なのかな?倒しても倒しても出てくる。

 エンシェントドラゴンも言っていたしな、無限に湧いてくるから無視しとるって。


 腹が減ったから戻るか!

上に登っていくと地龍と戦っているレイナがちょうど倒したところだった。

「レイナお腹空かない?」

「空いた」

「んじゃ、ヨシキも呼んで飯にしようか」

「うん」 

 ヨシキも戦闘中で終わるまで待って声をかけると腹ペコだったらしい。

  

「あー、腹減ったわ」

「私も」

「ドラゴンも飽きてきたよな」

「「それはない」」

 そうかな?食い過ぎたからかなぁ。

 肉を焼いて食うと、

「美味えわやっぱ」

「美味しい」

「そっか?堅パンが懐かしくなるんだよなぁ」

「「それもない」」

「そっかあー」

 それにしてもうまそうに食うな。

 貧乏舌だからかな?

 また今度街に行ったら堅パン買いだめしとこっと。

「一回街戻る?」

「そうだなー。俺も風呂に入りたい」

「あー分かる!俺も入りたい」

「私も」

 と言うわけで急遽街に戻る事になった。


「準備できたか?」

「「うん」」

「じゃあ、レッツゴー」

 早足で駆けていく!

 道中のモンスターは無視だ。

 どのみち俺たちの速さに着いて来れないしな。

 街まで三日かけて王国の王都に着いた。

 それなりに賑わっているのでさっそく風呂付きの宿に泊まる。

「生き返るなぁー!」

 たまの贅沢にこんなことしていいのかな?

 風呂から上がるとみんなでまた食べに出かける。

 パン屋によって堅パンを買い占めて、注文までしておいた。

「まじで買うんだな」

「私はいい」

「これが美味いんだって」

 俺以外で好き好んで買う奴はいないだろうがな。

 飯屋に入るとテキトーに頼む。

「お、これ美味いな」

「そうか?普通だぞ?」

「舌が慣れた」

「あぁ、ドラゴンの肉にね」

 そんなもんかなぁ、食えるだけマシだろ?

 飯屋を出ると防具の整備を頼みにいく。

「お客さんのは材料が」

「これで足りるか?」

「た、足ります!残ったのは買い取らせてもらっていいですか?」

「ちゃんと直してくれたらな」

「はい!大急ぎで直して見せます」

「よろしくお願いします」

 と、大喜びだった。


 ギルドにも寄り道する。

「おわっ!チフユじゃねーか!」

「イーグルさん!お久しぶりです」

「お前また背が高くなったか?」

「成長期なんですよ」

「そっか!元気ならそれでいい!」

「また、ドラゴン肉食べます?」

「あるのか?いいねぇ!」

 と乗り気のイーグルさんだが、

「でも、今晩はやめとくわ」

「どうかしたんですか?」

「うちの盾士のガンツが怪我しちまってよ!」

「じゃあ、俺が治しますよ!」

「本当か!頼むよ」

 ガンツさんの家まで行くと腕が半分と脇腹が少し抉られていた。

「いきますね『フルリカバリー』」

 逆再生の様に体が治っていく。

「お…おお」

「…」

「あ?なんだ?痛みが消えたぞ?」

「よかったな!ガンツ!」

「良かったですねガンツさん」

 ガンツさんはまだ夢でも見ているみたいにキョロキョロしている。

「で?どうしたんですか?」

「あぁ、キングブルがまた出てよ!そんときに俺を庇ってな」

「そうだったんですね」

 盾士の仕事だもんな。でも無謀だよ。

「良かった!本当に良かった!」

 泣いて喜ぶイーグルさん。

「チフユ。ありがとな!」

「いつもお世話になってるんですからお互い様ですよ」

 本当に帰ってきて良かったな。

 あの怪我じゃ危なかっただろう。

「さあ。飲みにでも行きましょうよ!」

「あぁ、そうだな!行くぞ野郎ども!」


 その日の晩はとても楽しくガンツさんの快気祝いにもなった。


 もちろんドラゴンステーキは奪い合いだった。


 

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