第10話 その頃のみんな


 竜の巣に来て一ヶ月が経過した。ヨシキやレイナも、ひとりでレッドドラゴンを倒せる様になっている。

「あっ、俺のレッドドラゴン!」

「早い者勝ち」

「くそっ!素早さじゃ勝てない!」

「あはは。そんなに頑張ることないって、まだ序盤もいい所だから」

「あ。ははっ、ここが序盤だなんて信じたくないな」

「ほんとだって、これが可愛く見えちゃうから」

「…ここではまだレベル上げが必要みたいだ!」

 岩山を登っていくヨシキは張り切っているなぁ。


 俺たちは竜の巣序盤で、レベル上げをしているが、他の奴らは何をしてるんだろうか?



  ♦︎



 カズヤは錬金術師としてある工房を訪ねていた。

「弟子にしてください」

「ワシは弟子は取らんて」

「僕一人じゃ限界なんです」

「何を目指しとるんじゃ?」

「マジックバックを作りたくて」

「なんじゃと?わしも作れぬぞ」

「…じゃあ一緒に作りませんか?」

「作ってるところすら見せてもらえなんだが」

「僕が分かります!これは友人に作ってもらったマジックバックです!その時僕は見ていました!」

「なんと。そいつに習ったら」

「そいつは外に旅立ちました!だけど僕はまだ…そいつには負けない!負けたくない!」

「じゃったらわしと一緒に作ろうではないか!其奴を超えるんじゃ」

「はい!」


 カズヤはあのとき悔しかった。もっともっと勉強してチフユを越える。


 一方、商人のミイナは自分で商店を立ち上げるべく動いていた。

 物の値段を調べ精査し基準の値段を決める。自分の目と勘、あとは日本での生活など色んなことを自分なりに考えていた。

 品物については検討をつけてある。シャンプーはある。でもあれじゃ石鹸で洗ってるのと変わらない。良いシャンプーの作り方などわかるはずがないので錬金術師のカズヤを尋ねる。試行錯誤して新たなシャンプーを開発すると次はコンディショナー。カズヤもお師匠さんも錬金術師とはとにかくなんでも作って見ることが大事なんだと、協力してくれた。

 人任せじゃなくて自分でも試行錯誤する。

 ようやく商品が出来て自分でも作れる様になった。カズヤと師匠に感謝して店を立ち上げる。


 僧侶のサクラと聖女のミコトはパーティーを組んで動いていた。戦士のタカユキ木島や狩人のカズミ、魔術師のリサ、盾士のタクヤの6人パーティー。

 他のメンバーもパーティーを組んで活動している。

 全員が魔王国で動いていた。なぜなら魔王国の方が稼げるからだ。


 この世界でしか手に入らない様なものがたくさんあるのでそれを手に入れるためにお金が必要なのだ。

 薬師のサトミは自分なんかはと言っていたが、今一番頑張っている。一人でやっていたチフユを思い出すと負けられないと躍起になっていた。


「行くわよみんな!」

「お前が仕切るなよ」

「別にいいでしょ!さっさと行く!」

「はいはい」

 薬師のサトミが叫ぶと剣士のハジメに騎士のタクトがついて行く。3人でパーティーを組んでいる。なんだかんだでうまくいっている様だ。


 女子だけのパーティーもある。

 鞭士のヨシミ、魔具士のカンナ、魔動銃士のレイミ、拳士のハルナ、侍のイチゴ、賢者のカオル。魔具士は魔動銃士には欠かせないし、ハルナ、イチゴ、ヨシミは共に運動部員であると同時に男が信用できなかった。

 女性だけのグループを作ったらこうなったが、なかなかいい組み合わせだと思う。


 テイマーのチヒロはまだまだテイムできるモンスターが弱いので幼馴染の召喚士のライが助ける。それに仲間である聖騎士のジュンと鍛治士のケンタ、剣聖のショウ、で頑張っている。

「どうだいけそうか?」

「うん!もうちょっと…!出来た!」

 チヒロがテイムできたみたいだ。

「やった!よかったなあ!」

「フォレストウルフか」

「ウルルって名前をつける」

「ワオーン」

「よしこの調子で、テイムで数を増やそう」

「「「おー」」」


 残り6人もパーティーを組んでいた。

魔剣士のシンジ、格闘家のコウヘイ、魔法剣士のマサシ、シーフのテッタ、アサシンのケンスケ、吟遊詩人のミズキで構成されている。

「オラァ」

 格闘家のコウヘイが口火を斬ると吟遊詩人のミズキがバフをかける。魔剣士とアサシン、シーフが斬り倒して終わり。

 やはりみんなレベル制なのでやればやるだけ強くなれることが楽しいんだと思う。というより自分がそうなのだから。

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