第8話 謝罪


「回復術師が少なかったんだ?」

「そうだし、魔王の幹部がやたらと強くてさ」

「そうそう!あの時死ぬって思ったもんね」

「魔王は穏健派らしくて攻め込む様な人じゃないらしいよ?」

「だから見逃してくれたんだ」

「そう言うことだったのか!」

 ヨシキがいうにはおかしいと思ってたらしい。散々突いても出てこなかったらしいからな。本当に魔王には申し訳ないな。


「魔王城行って見る?」

「うん。謝りに行こう!」

 と言うことで全員勇者組+1名で謝りに行くことになった。

 平原が続く所を大人数で行進している。

 途中村があるためそこで宿を取って、また次の日も平原を歩いて行くと途中から荒野に変わる。

「ここからが魔王領だよ」

「へぇ」

 国境なのに何もないんだな。

 魔王城の王都に着く。

 緊張するが言うしかない。

「すいませんがこの前までこちらを攻めていたものです。女王に騙されていたとはいえ申し訳ありませんでした」

「あぁ。あのアイーザさんにコテンパンにされたやつらか、魔王様には伝えてやるが会えるかどうかはわからないぞ?」

「はい、それでもケジメなんで」

「わかった。宿屋はここの通りの妖魔の宿木にしてくれれば連絡してやる」

「そこにします、ありがとうございます」

「なんだ丁寧な奴じゃないか!最初からそう言う態度だったらこっちも何もしなくて済んだのに」

「本当に申し訳ない」

「分かった言っておくから待っていろよ」

「はい!」

 オークの門兵さんはえらく態度のいいひとだった。

 妖魔の宿木亭にチェックインして、チームを半分に分けて半分は居残り半分は街を散策することにした。

 随分と賑わってるな。

「あ、あれ可愛い、あれ欲しいなぁ」

「貸しならいいぞ?」

「ほんと?必ず返すね」

 女の子は色々大変だなぁ。

「チフユ!俺にも貸してくれないか?あの斧が気になってな!」

「持たせて貰えば?」

「うん、しっくりくる。チフユお願いします」

「分かったよー」

「王国金貨と魔王金貨で値段が違うんだな」

 魔王金貨で払った方が安くつくみたいだ。


 冒険者ギルドもあったので寄って見る。

 毛色がちがうけどちゃんとギルドだ。

「買取ってできますか?」

「会員証は王国のだな、できるぞ」

「ならこれを」

 ドラゴンの肉と鱗とツノだ。

「こ、これを何処で?」

「竜の巣です」

「竜の巣にいくのかよ、あんちゃんすげえな」

 受付の人に言われて少し照れると。

「いい値で売れるぜ!ちょっと待ってな」

「ギルド長こちらです」

「私がギルド長のアシッドだ、しかし、ドラゴンの肉に鱗とツノか、宝玉は流石に出なかったか?」

「ありますよ?買います?」

「あるのか!買う買う!」

 宝玉を出すまだ何個かあるしな。

「これで魔王金貨10000枚だな」

「分かりました。それでいいですよ」

「よかった、もっと吹っかけられるかと思ったよ」

「いい取引ができた。今後ともよろしく」

「はいお願いします」

 魔王金貨10000枚かぁ。純度が高くて綺麗だな。

 一枚出して見ていると、

「それが魔王金貨なのか?」

「そうだね」

「王国金貨より価値が高そうだな」

「ね。綺麗だよね」

「さっきから横にヨシキで反対にレイナがいる」

「レイナは何か欲しいものはある?」

「マジックバック」

「なら買ってあげるよ」

 とマジックバック屋にきている。

 白いマジックバックを選んだので買ってあげた。魔王金貨500枚だった。

 換金してなかったら危なかったな。


 テクテクと15人で歩いている。甘い果物やマジックテントなどもありビックリする事ばかりだ。

 宿に帰り次の番のクラスメイトに魔王金貨50枚を渡して外に見送ると丁度門兵さんがやってきて明日会ってくれるそうなので王城に来いと言われた。

「ありがとうございます」

「いいってことよ!悪いことしたら謝らなきゃな!」

「はい!」


 次の班は綺麗に魔王金貨50枚を使って帰ってきた。みんな買い物がしたかったのだろう。もっと渡しとけば良かったかな?


 部屋割りは大部屋に男子、四人部屋に女子が四部屋借りてある。もちろん俺が払っている。みんな金貨を貯めていると言っていたがそれなりに減っているのでここでのお金は俺払いだ。


 次の日には城に行き門兵に言うと話が通っており、快く迎え入れてくれた。

 謁見の前に武器を預けて中に入ると魔王と呼ばれるオールバックの王様がこちらを見ていたので膝をついて挨拶をする。

「良い良い。迷い子達だろ?そんなことせずとも良い」

 俺が立ち上がり、

「ありがとうございます」

 と言うと笑ってくれた。

「迷い子よ?なぜ帰らなかったのだ?」

「自分達の世界では20歳が成人になります。それまでこちらの世界で見聞とレベル上げをしようと思いまして」

「そうか。それもよかろう」

「あ、あの!この度はご迷惑をおかけしてすいませんでした」

「「「「すいませんでした」」」」

「よい、あの女狐の仕業だろ?それに女狐も居なくなり彼方の王からも謝罪の申し込みがきておる」

「いえ、最低でも自分達のしたことですから謝りたくてきました」

「許す!ちゃんと謝罪を受け取った」

「ありがとうございます」

その後は詫びとしてドラゴンの肉を渡したら喜ばれた。おいしいもんなあれ。

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