第7話 奢り


「おうどーしたどーした?こんなに大勢で!」

 イーグルさんがいた。

「俺の仲間たちです。ギルドに登録してもらおうと思って」

「まじか!何人いるんだ?」

「30人ですね」

「そりゃ多いな、受付がテンパってるぞ」

 受付のお姉さんが右往左往している。

「みんな、並んで受付してね」

「はーい!」

 受付の前に列ができる。

「俺は換金に来たんですよ」

「へぇ。Aランクが何を取ったんだ?」

「レッドドラゴンですね」

「ま、まじかよ!こりゃ今日はご馳走に預かれそうだぜ」 

「期待しといてください!」

「んじゃ、俺たちも仕事あるからよ」

「はい!夜に!」

「おう!死ぬんじゃねーぞ!」

 いつもの言葉だ!

「はい!」


「ねぇ。千冬?冒険者証にはチフユで登録したの?」

「うん!苗字はあんまり好きじゃないんだ」

「私もミコトで登録した!」

「下の名前だけだよな!」

 カウンターで登録しているクラスメイトが叫ぶ。

「それが楽かもね」

 と返しておいた。


「終わったみたいだな」

 受付のお姉さんにお疲れ様ですといい、買取をお願いする。

「チフユくん!こ、これ!」

「しー」

 レッドドラゴンの鱗と肉だ。

 金貨200枚になった。

 まだありますけどと言うとお金がなくなると言って買い取ってもらえなかった。


「千冬はランクいくつなんだ?」

「Aランクだよ」

「まじかよ!Fランク始まりはきついって」

「なんでも、コツコツとだよ」

「はぁ。薬草採取まで遠いなぁ」

「街の人達に覚えてもらうのが最初だね」

「そうか。それが目的なんだな」

「そうなんだよ」

 俺も苦労したしな。

「んじゃちょっくら行ってくるぜ!」

「私も、行ってこよっと」

「あー。今日の分がなくなってしまってる」

 今日の分のFランクの依頼が無くなった。

「ギルド長と話できますか?」

「はい。ギルド長!」

 ギルド長が、出てきた。

「な、な、なんだこの数は?」

「城で勇者達がいたの知ってますよね?」

「あぁ。召喚された子達だろ?」

 小声で話す。

「それが僕らです」

「おまえもか!どうりで」

 ギルド長は一人で納得しているが、

「それで提案なんですけどランク上げてもらえませんか?」

「それは。そうだなEランクならいいぞ!外に出るのに人数は関係ないからな」

「よし!」

 みんなそれを聞いて喜んで外に出て行った。中の仕事を選んだ人には悪いけど帰ったらEランクになってるからね。

「疲れたー」

「ただいまー」

 中の仕事の人が帰ってきたので、事情を話す。とわかってくれて、俺らも外に行ってくると言って外に行ってしまった。


 あとは宿の手配だけど城で休ませてもらえる様に騎士団長に連絡を入れとく。

「もちろんだとも!」

「ありがとうございます」

 壊れた外壁はもう土魔法使いが直しているらしく、王様には騎士団長がなることに決まったそうだ。

「良かったです」

「ハハッ、これも狙い通りかい?」

「その通りですね」

 王様なんて偉い人は優しい人がなるべきなんだよ。


 これで大方片付いたな。


 あとはみんなの腕次第だけどどうかな?


 ギルドに戻ると薬草の山とキラーラビットの山ができていた。みんなランクCまで上げてもらっていた。ギルド長もこんなことになるとは思ってなかったみたいだ。


「買取はこんなに安いんだね」

 天堂じゃなくてヨシキがそう言うが、

「こんなもんだよ。最初は俺も堅パン2個が限界だったし」

「そうなのか。そうだよな」

「まぁ。今日は奢るからみんなたくさん飲み食いしてくれよ」

「いいのか?」

新人キラーキラーラビットを倒した人には奢るのが風習なんだ!って俺も奢ってもらったんだ」

「キラーラビットなんかに負ける俺たちじゃないからな」

「でも最初は怖かったんだよ?」

「そりゃな。それにレベルもわかんなかっただろ?」

「教会で女神に祈るとわかるんだよ?」

「そうなのか!?はじめてしったよ」

「俺も初めて教えてもらって言ったら鑑定が付いててビックリしたし」

「今度行ってみよう」

「そうだね。それがいいと思うよ」


「おーい。帰ったぞー!ファングブル4匹だ」

「流石ですね」

「Aランクに言われちゃたまらんよ」

「「「「あははは」」」」

 

「さぁ、今日は奢るからみんなたくさん食べてね!」

「「「「「「おおーー!!」」」」」」


「おい、お前名前は?」

「ヨシキです」

「いい友達もったじゃねぇか!」

「はい!」

「友達の友達は皆友達ってな!みんなギルド仲間だ!飲んで騒いで笑ってな!」

「はい」

「だから死ぬんじゃねーぞ!」

「はい!」

「イーグルさんもね?」

「おう!俺は死なねーぞ!なにがなんでも生き汚くてもいきてやるんだ!なっ!チフユ!」

「そうですね、どんなに辛くても頑張ればどうにかなりますからね」

「人にはないと生きてけねぇもんが3つある、命がなきゃ生きてけねぇ。金がなきゃいきてけねぇ。最後はダチがいなきゃ生きてけねぇ!」


「ドラゴンステーキができたよー!」

「なぬ!奪い合いだこの野郎!」

「「あははは」」

「良い人だねイーグルさん」

「初めてこっちでできた友達なんだ」

「ダチがいなきゃさ生きてけねぇってのはほんとだと思うよ」

「まあね!」

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