第163話 芽吹く新世代~with 最強コーチング~ その4

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【0.0000秒】──


さーて、やっていこう。

強化結界・" 伽藍がらん蓮華掌上れんげしょーじょー "。




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【0.00001秒】──


まずは先に倒し方……つまりは弱点の割り出し方を教えることにしよう。

私はきんぐの元へと踏み込んだ。




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【0.00002秒】──


きんぐがその身にまとう黄金の炎を風を起こして吹き飛ばそうとした。

しかし、それは叶わない。

黄金の炎はまるで固まったかのようにビクともしないのだ。



『これはダメみたいだね』



私は×印を腕で作って、うしろのみんなへと口パクでそう伝えた。

声は出せない。

音速が遅すぎて、みんなへと声が届くのがだいぶ後になってしまうのだ。




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【0.00003秒】──


黄金の炎に風が通じないのであれば、次は直接攻撃だ。

炎は熱いだろうから直接触るのは危険だ。

でも大丈夫。

熱せられたお鍋に一瞬触れても火傷しないように、この黄金の炎にも一瞬だけ触れてみたらいいのだ。

手刀を、きんぐの命に差し障りのない体の部位へと通してみる。




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【0.00003…秒】──


ていっ!

ていっ!

黄金の炎の、上端と下端を斬ってみた。




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【0.0004秒】──


やはり、熱くないし火傷もなかった。

そしてきんぐの体は分断されている。

よしよし、どうやら直接攻撃が有効打になりそうだね。



『こうやって、相手がついてこられない速度で何回か試すと弱点が見つかるんだよ』



私は〇印を腕で作って、うしろのみんなへと口パクでそう伝えた。




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【0.00005秒】──


さて、それじゃあ次は攻撃の避け方だね。

きんぐの攻撃を実際に避けてみよう。




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【0.00006秒】──


そのためにはきんぐからの攻撃を待たなければいけない。




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【0.00279秒】──


あっ。

ようやくきんぐが動き始めた。

私が目の前にきたことに気づき、驚いたらしい。




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【0.00412秒】──


それからきんぐはグッと息を飲むような反応をした。

キングは私の手刀に体を斬られたことがわかったらしい。

そういうのはいいから早く攻撃してくれないかな……?




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【0.00836秒】──


ユラリ、と。

きんぐの黄金の炎の一部が不自然に盛り上がった。

あっ、これ攻撃がくる合図だっ!




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【0.00837秒】──


『みんな分かった?』



私はその炎の部分を指さして、後ろのみんなを振り向いた。



『ここの部分から、たぶん炎を何かの形に作り変えて攻撃がくるよ』



口パクでしっかりとそう教える。




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【0.00838秒】──


『とりあえず、どんな攻撃が来るのか、このまま何もせず観察してみよっか』



よく見るということ。

それはモンスターの攻略でとても大事なことだ。

というわけで、攻撃が完全に " 起こる " までの時間を私は待つことにする。




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【0.02439秒】──


黄金の炎は三又の槍の形になって、私に向けて突き出される。

私はそれが当たらない位置へと体を動かした。




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【0.03677秒】──


私は、ゆっくりと三又の槍が私の横を通過したのを見つつ、みんなを振り返る。



『きんぐは炎を武器の形にするみたいだね』



口パクでそう言って、



『じゃあ次はもっと大事なことをお勉強しましょう』



それから私はきんぐへと向き直る。




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【0.05286秒】──


私に攻撃を避けられたきんぐは、続いてさらに攻撃を重ねようとしてくる。

再び、黄金の炎の体に不自然な力のゆがみができている。



『ここ、注目!』



私は指でその部分を指示しつつ、




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【0.05287秒】──


右手の拳でその部分を貫き、きんぐの攻撃を潰した。




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【0.05288秒】──


『これはとっても大事なことです』



私は体の動きで「!」を作って口パクする。



『攻撃は、される前に潰すのが一番楽チンなんです!』




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【0.06015秒】──


きんぐが体をのけぞらせた。

自分の攻撃が潰されたことを悟ったようだ。




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【0.07666秒】──


しかし懲りずに、きんぐがさらなる攻撃を、それも複数仕掛けようとしてきたので、




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【0.07667秒】──


ここと、

ここと、

ここと、

ここ!


攻撃が起こる前にぜんぶ潰す。




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【0.07668秒】──


『みんな、分かったかな?』



とりあえず一回この結界を切って実践タイムだ。

まだ結界の持続時間はあるはずだけど、どれくらいだろう。

今時点で0.08秒使っちゃったってことは……。


えーっと、3秒引く0.08秒だから……。


えーっと……。




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【1.53921秒】──


きんぐの攻撃を避けつつ、しばらく引き算の答えを考えた。

でも答えはわからなかった。

これ以上の時間を使うのがもったいないので、結界を先に切ることにする。






* * *






私の展開させた伽藍蓮華掌上の結界が消えて、みんなの時間の流れが戻る。



「みんな、どうだったかな? きんぐの攻略法はわかった?」


「「「それは分かったけど最後の時間がもったいなさ過ぎる!!!」」」



みんなに大声でそう叫ばれた。




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