第108話 キングの意識

本日2話更新のため、107話を先にお読みください。


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キングは光速を超えた速さで飛ばされていた。


……アリ得ヌ!!!


RENGEの打拳が生み出したエネルギーに乗せられて、

キングの体は燃え盛りながら大気圏を突破し、

途中に置かれていた人工衛星を巻き込み破壊し、

そしてそのまま月の横を通り過ぎ、

太陽系からドンドンと離れていく。


……ナンテコトダ、マサカ、コレホドトハ。


キングのその体は大気圏突破後からほどなくして崩れ去って消滅していた。

キングの"この世の理"を司る者としての意識だけが、RENGEの打拳が引き起こした謎のエネルギーの奔流の乗せられて地球から遠ざけられている。

意識という形の無い物にまで影響を与える打拳など、聞いたこともない。


……ナントイウ常識外レ……ダガ、シカシ。


RENGE、詰めが甘い。

意識へと物理的 (?)な干渉が可能なのであれば、直接砕くこともできたろうに。

体を失っただけでは、キングは死んだとは言えない。


……使ウカ。


……地球カラ離レ過ギタコノ地点デ使エバ効果ハ薄レルガ、仕方アルマイ。


キングは太陽系の外側から、その力を発現する。

いつか再び地球に混沌をもたらすため、万全の態勢で使うハズだったソレを。


半世紀以上前に、長い眠りに就く前にすでに世界に種は巻き終えている。

だから後は合図ひとつだけで事足りた。


……我ノ意識ヲ継ギシ者ガ迷宮ノ底デ貴様ヲ待トウ。ソシテ、次コソハ……!




──"迷宮顕現"。




そうしてそのキングの意識は途絶えた。


キングの覚醒から20分。

そしてその討伐から20秒後。

全世界に再び、"本物のダンジョン"が姿を現すことになった。

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