第109話 ハリウッド決戦 その6
「──うーん、やっぱり電波が立たないなぁ」
レンゲがグーッと伸びをしてスマホを空へと向けている。
ドラゴン形態になり、空を滑るように飛ぶリウの背中の上で。
キングが討伐されたことをいち早く悟ったリウは、大怪獣が暴れ回った後のようなハリウッドの地へとUターンしてレンゲを拾っていた。
「ねぇねぇ、リウ。もうちょっと高く飛んで? そしたら電波が来るのかも」
(いや、普通に考えて太平洋のド真ん中に電波くるわけないだろ……)
そして今は日本への帰路で再び青い海の上。
にもかかわらず、何とかして電波を立たせようと苦心するレンゲのその姿にリウはため息を吐く。
「レンゲ、何のために電波が必要なんだ?」
「えっ? "きんぐ"の討伐が終わったってことを報告しなくちゃ……あの、最初に電話をくれた"ナイカクホンボーホクホホンホホー"さん? に」
「内閣官房副長官補だろ」
「そう、その人」
やはりレンゲ、抜けている。
倒せたなら普通にホワイトハウスに行って報告すればいいのに……
とはいえ、レンゲの場合は英語の圧に耐えられず寝てしまうか。
となると報告はリウの役目となってしまう。
(メンドくさ。このまま帰っちゃおう。お菓子もまだ食べかけだったし)
レンゲとリウはそのまま日本に直行した。
ハリウッドの地をそのままに。
ちょうどナズナの帰宅と重なって、AKIHOは帰ってしまっていたが、テーブルを囲んでのお茶会が再開された。
そして夕方に差しかかる頃。
点けていたテレビから全世界に向けられた"新ダンジョンの発生とドラゴン復活のニュース"が発信され、ナズナはお茶を吹く羽目になる。
「あ」
レンゲは電話をかけるのを忘れていた。
その5分後。
どうやら日本政府ともろもろの調整をしてくれていたらしいAKIHOから連絡があり、霞ヶ関に呼び出されることになったのだった。
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